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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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決戦は金曜日-1

自然とドリカムの『決戦は金曜日』を口ずさんでしまう。


でも、決して口ずさむほど浮き足立ってるってわけではない。


なんとなく今の自分のテーマソングにぴったりな気がして、頭から離れないだけなのだ。






今日は金曜日、優真先輩と一緒のゼミがある日である。


そして、明日はあたしも優真先輩も講義がないのでお休み。


となると、チャンスは今日しかないのだ。


あたしは、いつもより大きなトートバッグを肩にかけ、カツカツとリノリウムの床を鳴らしながら構内を歩いていた。


歩きながらトートバッグの口をギュッと握り締める。


この中には、パジャマや下着に、スキンケア用品、そして明日着る服など、所謂“お泊まりセット”が、教科書に混ざって入っている。


臼井陽介に話を聞いてもらい、ようやく優真先輩と一つになる覚悟ができたあたしは、最近ギクシャクしていた優真先輩との関係を修復すべく、ある決意をしていたのだ。


それは、優真先輩に『今日泊まって行っていいですか』と言うこと。


彼氏の部屋に泊まると言うことはどういうことか、きっとわかってくれるはず。


正直、未だに怖い気持ちとか、優真先輩に嫌われちゃうんじゃないかって不安はあるんだけれど、あたしはそのたびに臼井陽介が言ってくれた『大丈夫』って言葉を思い出しては自分を奮い立たせてきた。


でも、同時にアイツの笑顔を思い出すとなんだか心拍数が上がったような気もして。


構内でも無意識のうちにアイツの姿を探してしまうことが多くなって。


アイツの存在がだんだんあたしの心に侵食していくのが、なんだか怖かった。


だから、そんな時には。




――あたしが好きなのは優真先輩で、抱かれたいのも優真先輩。


――臼井陽介は、あたしの事情を知ってるだけの男。




励ましてもらっておきながら勝手だけれど、そうやってアイツの立場を頭に叩き込むのだ。


多分、優真先輩と今はギクシャクしてるから、自分の気持ちが不安定なだけなんだ。


優真先輩とエッチすれば、自分の中にあるモヤが取っ払われるはず、そう思いながらあたしは5階にある、ゼミ教室へと足を進めた。








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