第一章-5
散々走らされた後、先輩の家らしき建物に押し込まれた。
ありさは抵抗する余裕もないくらい疲れていた。
「……はぁ…こ、ここって…」
「俺ん家。まぁ今親いないからさ。早く靴脱げよ」
「いやです!帰ります!」
怒鳴った様にありさが叫ぶ。
「あれえ?先輩に対してそんな態度とっていいのかなあ?」
ニヤニヤしながら先輩が言う。
嫌な予感しかしなかった。
「そんな子には“お仕置き”が必要かな?」
恋愛小説なんかでよく聞く台詞。
まさかこんなところで言われるなんて、思ってもみなかった。
なんて考えていると、先輩は隙をつき、ありさを抱えた。
「うわあ!ちょっ、降ろして……!!!」
先輩はそんな言葉も無視してそのまま二階へと上がっていく。