第一章-2
「………た、たたせる?………えっと………じゃあ…その、立って…ください」
ありさが不思議そうな顔で言うと、先輩がいきなり吹き出した。
「え!?あの……」
「あはは。もしかして……」
先輩は静かに立ち上がると、ありさの後ろにまわりこみ耳元でぼそっとつぶやいた。
「?」
「まだ…こういうこと、知らない?」
そしてありさの胸を鷲掴みにした。
「きゃあ!!」
びっくりしてパニックになっているありさが悲鳴をあげた。
「体は小さいくせに……胸は結構あるんだ…?」
「…い………や…」
先輩は涙目のありさの顔を見ると、少し頬を赤く染め、鷲掴みにしていたありさの胸を放した。
力が抜け、ありさが呆気なく倒れそうになると先輩はサッとありさを支えてまた呟いた。
「今の顔、反則」
「………。」
「俺のたたせやがって……」
ニヤニヤしながら先輩はたちあがると、ありさに一歩近づいた。
次は何されるの、と怖くなったありさは後退りした。
そして指をありさの頬にすっと触れさせると、低い声で囁いた。
「……いいよ…今日からお前は俺の彼女だ」
「え」
あっさりOKの返事。