11月24日-5
「はは、やっちゃったか。」
しょうちゃんに例のごとく、電話で報告した。
「…やっちゃいました。すみません」
「謝るなってー。バレなきゃいいって考え方は良くないと思うけど、
彼氏を傷つけるのが一番良くないからねー。バレんなよ」
「うん。」
「勢いで、俺ともヤっちゃう?」
「…え、いや…」
「冗談だってー」
しょうちゃんは笑った。
なんだーと云って、私も少し笑った。
「てかさー。」
しょうちゃんは笑ったまま云った。
「え、なにー」
私も笑ったまま聞く。
「俺さ、利津子ちゃん好きっぽいんだけど、
どうしよー。」
笑ったまま、しょうちゃんは云った。
「…へ?」
私は、もう、笑っていなかった。
今年の始めから、変なモテ期が来た。
ストーカーに遭ったり、客に気に入られたり、身の丈に合ったモテ期だと思っていたけれど、
いつの間にか身分不相応なモテ期になっていた。
そういえば、今日は11月24日。ちょうど1ヶ月後はクリスマスイブだ。
今年のイブは誰と過ごしているんだろう。
そんなことを思いながら、いつまでも笑い続けるしょうちゃんの声を、私はただただ、ぼんやり聞いていた。
終り