愛の折檻-5
美貴は遠慮がちに話しかけた。
「明日はコーチが退院する日でしょ? 私にも何か手伝わせて」
「…は、はい。あ、ありがとうございます…」
愛花が冴木クリニックで何をされたのかを理事長から聞いて以来、恋人を傷つけまいと気遣っているのだ。
それに対する愛花の対応もなんとなくよそよそしい。
以前は毎日電話していたのに、下宿話を断ってから何となく気まずくなり、淫夢のこともあって最近美貴に連絡をとっていなかった。
さらに図らずもつかさと浮気してしまったわけであるから、ますます気まずいのだ。
3人は料理を始めたが会話は途切れ途切れだ。
愛花と美貴の間に流れる空気の重さを察してつかさも言葉が出ない。
そのまま夕食をとった後、沈黙に耐え兼ねて遂に逃げ出した。
「あっ、そうだ! 今夜のドラマ予約しとくの忘れたっ! 急いで帰らなきゃ!」
「ええっ? つかさちゃん、もう帰っちゃうの…?」
「ほら、うちのお母さん機械オンチだからさっ! 1人じゃ録画できないんだよなっ! じゃあ愛花、また明日ねっ!!」
「う、うん…またね…」
ダダダッ!
つかさは靴を履く間ももどかしく、バックを持って玄関を飛び出してゆく。
バックの中にはパジャマとお泊まりセットが入っていたのだが…。
あわよくばもう一度愛花を抱きしめて思いっきりHしたいというつかさの望みは完全に絶たれたのだ。
つかさを見送った2人はキッチンで並んで後片付けをしたながら話した。
「どうしちゃったの? あの子…」
「さぁ…。きっとお姉様に遠慮してるんです」
美貴はじっと愛花の顔を見つめながら言った。
「それよりも、聞きたいことがあるの」
「何ですか…」
「ねぇ愛花、どうして私を避けるの? 最近連絡もくれないし…」
「…お姉様を避けるなんて…そんなこと…」
「病院であなたが目を覚ました時、いきなりHしちゃったのは謝るわ。あなたが冴木クリニックで色々酷いことされたって理事長から聞いてたのに、我慢できなくって、つい…。でも愛花に冷たくされると本当に辛いの! 胸が痛くなるわ…。だからお願い、私を許して!!」
「そんな…私…。きゃっ!」
愛花が横を向いてもじもじしていると、美貴はしゃがみこんで愛花の膝にすがりついた。
太ももから腰の辺りををがっちりと抱きしめて、静かにむせび泣いた。
「お姉様は何にも悪くないです。悪いのは私の方です…! 私、最近おかしいんです。あの病院で1週間いやらしいことされ続けて、苦しくて頭が変になって…。あれ以来、Hな夢ばっかり見るんです…。いつも夢の中では色んな女の人に抱かれて…。メス奴隷になって…」
愛花は顔を真っ赤に火照らせながら告白を続けた。
「ごめんなさい! 私、先週…夜中にうなされていた時、無我夢中でつかさとHしちゃったんです…」
美貴は驚いてはっと顔を見上げた。
「愛花…もしかしてあの子が好きになったの?! 私のこともう嫌なの?! 絶対嫌よっ! あなたと別れるなんて!!」
「違います! 私が一番好きなのはお姉様です! 罰を与えて下さい!!」
その言葉を聞いた美貴は立ち上がって愛花を抱きしめる。
「そう…。私にお仕置きして欲しいのね?」
「はい。毎晩Hな夢ばかり見てアソコを濡らし、先輩を裏切った淫らな私を罰して欲しいんです…」
「本当にいいの…? 正直、初めて会った時からあなたを思いっきり啼かせてみたいと思ってた。でも、あなたを大切に思うからそんなことはしなかったの」
「いいんです。お姉様の思い通り、私のこと思いっきり虐めて下さい!! 私、悪い子なんです!!」
美貴は愛花の耳元でそっと囁いた。
「…私、今まで玲様に奴隷としてお仕えして、さんざん辛い罰を受けてきたわ。だからあなたを泣かせる方法なんていくらでも思いつくのよ。それでもいいの? 本当に私の奴隷になりたいのね?」
「……………」
愛花はその問いには答えず、ただぎゅっと美貴を抱きしめ返した。
その小さな身体が微かに震えている。
可愛らしい恋人の固い決意が伝わり、美貴は愛おしそうに頬ずりした。
2人の関係は甘い恋人同士から、遂に新しい段階『ご主人様とその奴隷』へと移行しようとしているのだ。
玄関に鍵をかけると、美貴は家の中を漁ってゴソゴソ何か用意を始めた。
その間、愛花は2階にある自分の部屋で判決を待つ被告のような面持ちで美貴を待っていた。
トントントン…。
美貴が大きな紙バッグを持って階段を上ってきた。部屋のカーテンを閉めると、電気をつける。
そして中から大きなビニールシートを出して部屋のベッドの上に敷いた。
いつも大量に潮を吹いて周囲をびちゃびちゃにする愛花のために、最近の笠倉家では洗面所の棚にビニールシートが常備されているのだ。
「愛花、覚悟はいい? 私のお仕置きはきっついわよ! 泣き喚いてもやめないからね!」
「はい…。思う存分お仕置きして下さい…」
カーペットの上でじっと身を固くしている愛花に美貴の命令が下る。
「じゃあ、まず着ているものを全部脱ぎなさい」
「はい…お姉様…」
愛花はゆっくりと服を脱ぎ始めた。
ブラウスを脱ぎ、スカートを下ろす。ブラもパンツも脱いで椅子の上にかける。
にこりとした美貴は今度は自分の制服のスカートをまくりあげた。もちろん下はいつもの六尺褌である。
そしてしゅるしゅるとふんどしを解くと、取り出したハサミでいくつかに切断する。
「口を開けなさい」
「ふぁい…。むぐっ?」
丸められたふんどしの切れ端が愛花の口の中に押し込まれた。
もちろん汗やおりものがたっぷりとこびりついた部分である。口中には美貴の懐かしい味が広がった。その上から猿轡がかまされる。