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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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彼女の失恋-2

そんな彼女だから当然言い寄る男はたくさんいるわけで。


スポーツマンタイプも、秀才タイプも、人気者タイプも、地味なタイプでさえも、様々な男の子達が彼女を狙っていた。


みんな、あの手この手で郁美の気をひこうと必死で、毎日のように電話したり、休みの日にはデートに誘ったりと、ライバル達は熾烈な争いを繰り広げていたそうな。


そうして、最終的に勝ち残った男の子が郁美の彼氏として、彼女の隣に立てるらしい。


真偽はわからないけど、郁美の歴代の彼氏のレベルの高さを見るとあながち嘘ではなさそうだった。


とにかく、彼女はそれほどもてて、付き合う男の子もかっこいい人ばかりだった。




……今回の相手を除けば。






そもそも今回の相手は、始めから終わりまで全てが今までのパターンと異なっていたんだ。


今までの郁美なら、自分からは告白をしたことがなかったのに、今回の相手は自分から告白したと言うし。


わりとプライドが高く、自分からは告白しないと決めている(ように思える)郁美が、自分から告白して付き合うことになったと嬉しそうに私に報告してきたときは、心底驚いた。


そしてその相手を知って、私はさらに驚くこととなる。


郁美は元来、細身で背が高い、オシャレな美形タイプが好みだったはずで、歴代の彼氏はどの人も例に漏れずいわゆるイケメンで、周りの友達に羨ましがられていた。


それが今回の相手である土橋修(どばしおさむ)は、身長は172〜3センチの標準で、広めの肩幅が印象的なガッチリした体型は、細身とはとても言い難く、スリムとはかけ離れていた。


顔はと言うと、鋭い目つきのせいなのか、いつも機嫌が悪そうに見える強面の男の子で、目鼻立ちがくっきりして整った歴代の彼氏達とは正反対のタイプだった。


郁美が今まで付き合ってきた中では、正直に言って一番見劣りのする男の子で、私はなぜ郁美がこの人を好きになったのかがわからなかった。


「修ってホント何考えてるのかわかんない……。いきなり“別れよう”だなんて……」


郁美は、手の中で握りしめられてグシャグシャになったハンカチを目元にあてて呟いた。


そして別れ方も今回は違っていて、今までなら必ず郁美の方から相手を振って終わる、というパターンだったのに、今回は相手から振られたと言う初めてのケースだったのである。


いつもなら、「ダサい」「話がつまんない」「何か違う」など、本当に些細な理由で郁美は相手を振ってきては、


「別れちゃった〜」


と笑いながら報告して来るので、 私も話を聞くだけで済んでいたけど、郁美がこのように振られて泣くのは初めて見たので、私自身もすっかりオロオロしてしまって、彼女にどんな言葉をかけようか迷うだけで、沈黙になるばかりだった。




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