淫欲の虜-5
翌日の金曜日も、当たり前のように出勤しなければならない。
明け方近くになって意識を取り戻したマヤは、自宅に戻って大急ぎで浴室にむかった。
どろどろになってしまった下着を、迷わず脱衣所のゴミ箱に放り込む。
熱めのシャワーを全開にして、滝のような湯を浴びる。
もうもうと立ち込める湯気越しに、浴室の鏡を見た。
盛り上がった乳房とは対照的に、腹は痩せすぎかと思うほど骨が浮いている。
白い肌には、昨夜の荒々しいプレイの傷跡。
ところどころに見える青い痣や、縛られた跡が痛々しい。
香りの強いボディソープを全身に塗りつけ、男たちに汚された体を丁寧に洗う。
敏感になり過ぎた肌は、もはや自分の手が触れただけでも反応をみせる。
ぷっくりと丸みを帯びた乳首が、愛らしく桃色に染まっていく。
少しだけ……。
鏡を見つめながら、そこを泡まみれの手で撫でると、穏やかな快感に笑みがこぼれた。
あの男たちにされるような乱暴さとは、対極にある静かな感触。
こんなふうに可愛がってくれる男はいるだろうか。
マヤの欲しいものだけを与えてくれる、奉仕者のような男。
「いるわけ、ないよね……」
自嘲気味に呟く。
撫でるだけではやはり物足りず、ちょっと力を入れて擦ってみる。
「あ……はぁっ……」
流しっぱなしにしたシャワーから、熱い湯が落ちてくる。
興奮した肌の上を、湯の球が転がっていく。
そのまま下腹部に手を伸ばす。
わたし、こんなことしてる場合じゃないのに。
少しでも眠ってから仕事に行かなくちゃいけない……。
わかっていても、悲しくなるほど体が刺激を求めている。
黒々とした茂みが隠す、その中に触れる。
そっと皮を剥き、肉豆を指で優しくつまむ。
シャワーヘッドを持って、流れ落ちる湯をそこに当てる。
「あぁ……んっ……いい、すごく……いぃ……!」
鏡の中にはひとり、淫らに悶える女が映る。
卑猥な表情と恥ずかしげもなく喘ぐ様子は、マヤを煽ってあっという間にオーガニズムに導いていく。
「ううぅぅ……!!」
絶頂の中で部長の要求を思い出す。
よくもあんな勝手なことを。
ただ、このままの状況であれば、どう足掻いても部長の言うことを聞くしかなくなる。
社長を裏切ることに迷いは無いが、その後のことを考えるのが怖い。
わけのわからない恨みを買い、複数の男たちに調教され、部長に嬲られる日々。
冗談じゃない。
どうにかしなくちゃ……。
みんなに踏みつけにされ、虐げられているばかりではどうしようもない。
味方を作らなくては。
自分に従順な、手足となって動いてくれる味方を……。
細い指先で淫芯をまさぐりながら、マヤはふたりの男の顔を思い浮かべていた。