雪の贈り物-4
『親が後悔して引き取りに来りゃいいがなぁ』
グロウは小さく言って赤子をゴロンと仰向けに転がす。
そのまま手早くタオルを下半身に巻き付けて即席オムツ。
「女の子ですか」
その様子を見ていたトビィはボソッと呟く。
『コラ、あんま見るな』
赤子とはいえじろじろ見るのは失礼だ。
「服はこれね♪」
リンはソファーに掛けてあった布に魔法をかけて服を作り出す。
赤地に白い花が刺繍されている布は、赤子に良く似合っていた。
「「『かっわいぃ〜』」」
3人は声を揃えてメロメロ。
「っわいぃ〜」
その3人の真似をする赤子は益々愛らしい。
「名前わかるかしら?お・名・前・は?」
リンがゆっくり問いかけてみると、赤子は笑顔で片手を上げる。
「あい!メリー」
「メリーね。アタシはリン、それとグロウとトビィよ」
「あい」
分かってるのか分かってないのかはっきりしないが、メリーは元気良く返事をしたのだった。
数日後
「……いつの間に子供産んだんだ?」
学校に呼び出しをくらったアースは、獣型のグロウの背中に股がっているメリーを見て目を点にする。
『産む訳ねぇだろ。捨て子だよ』
グロウは魔獣なので子供を作る気は無いし、そもそもリンには産まれつき卵巣が無いので作れない。
「あ?にゃん?」
メリーは突然現れたグロウそっくりの人物に驚き、自分が股がっているグロウとアースを見比べた。
アースは吹き出しそうになるのをこらえながらしゃがんでメリーと目線を合わせる。
「俺はアース。グロウの兄ちゃんだ。よろしくな」
実年齢はグロウの方が遥かに上だが、見た目はアースが上なのでそういう事にしている。
「あい。メリー」
「メリーね……抱っこしようか?」
アースの申し出にメリーは喜んで両手を差し出した。
背中が軽くなったグロウはぐうんと背筋を伸ばして人型に変わる。