双子の兄妹-22
「ケン兄の……おっきいんだね……」
マユミが小さな声で言った。
「痛かったんだろ? マユ……」ケンジはまた言った。
「少しだけね。でも平気だよ」
マユミはケンジの目を見つめて微笑んだ。
ケンジとマユミは繋がったまま、お互い顔を赤く上気させ抱き合っていた。
「男のコってさ、」
「うん」
「その……出しちゃった後って、無反応になる、って聞いたけど」
「一人でやる時はそうだな。無反応というより、めちゃめちゃ虚しくなる」
「なんで?」
「やっぱり、相手がいないからじゃないかな」
「今はどう?」
「なんか、今までにない幸福感がある」
「幸福感?」
「そうさ。好きな女の子と抱き合えてるんだ。幸せじゃないわけないだろ」
マユミは恥じらったように微笑んだ。
「出す時、どんな感じだった?」
「あんまり……よくわからなかった」
「気持ち良くなかった?」
「大好きなマユを抱いている、っていう事の方が気持ちいい気がする」
「出す瞬間って、すごい快感があるんじゃないの?」
「なんか……夢中で……」ケンジは恥ずかしげに言葉を濁した。
「ケン兄って、出してもちっちゃくならないの? まだ、あたしの中でびくびくしてるみたい……」
「そ、それは……」ケンジは顔を赤らめ、腰をもぞもぞさせた。
「もしかして、出してない……とか」
「い、いや、そうじゃない。ちゃんと、って言うか、さっきは確かに出した。いっぱい……出したけど……」
ケンジはますます顔を赤らめた。そして小さな声で続けた。「またイきそう……」
「ほんとに?」マユミはちょっと驚いて言った。「すごいね、ケン兄」
マユミがそう言った時、ケンジは腰を浮かせて大きくなったままのペニスをマユミの秘部から抜き去った。
「え? どうしたの? ケン兄」
「い、いや……」
「もう一度、あたしの中でイけばいいのに……」
ケンジはベッドの上に正座をして静かに言った。
「マユは初めてだったんだろ?」
「うん」マユミも身体を起こした。「あ、ケン兄、ティッシュちょうだい」
「え? あ、う、うん」ケンジは慌ててベッド脇のティッシュボックスを手にとってマユミに渡した。
マユミは数枚のティッシュを手に取り、ケンジに背を向けて少し焦ったように自分の秘部に当てた。
「ご、ごめん、マユ。お、俺の出したもの、漏れてるのか?」
マユミは恥ずかしげにケンジに振り返り、顔を赤らめた。
ケンジは枕元の電気スタンドのスイッチを押した。そして、何気なく自分のまだ衰えを見せないペニスを見た途端、息を呑んで、大声を出した。「マユっ!」
「な、なに? どうしたの?」マユミはびっくりして顔を上げた。
「こ、こんなに血が付いてる……」
マユミは落ち着いた声で言った。「当たり前じゃん。初めてだったんだもん」
「お、おまえめちゃめちゃ痛かったんじゃないのか?」
マユミは呆れたように言った。「もう、ケン兄、しつこ過ぎだよ。何度も訊かないで」
「だ、だって、おまえ……」ケンジは泣きそうな顔になっていた。
マユミはケンジに近づき、そっと腕をその逞しい胸に回してきゅっと抱いた。そして耳元で囁いた。「心配しないで、ケン兄。あたしは平気。大好きなケン兄があたしの中に入ってきた、って事だけでもすっごく幸せで気持ちいいんだから」
「マユ……」
「ねえ、ケン兄、もう一度イきたいんだったら、あたしの中に来て、出してもいいよ、もう一回」
「えっ?!」
「入れたいんでしょ? また」マユミは悪戯っぽく笑った。
ケンジはしばらく固まっていた。そして彼の中心にあるものは、大きく脈動していた。
マユミは再びベッドに横たわり、灯りを消した。
「いいよ、ケン兄」
ケンジは出し抜けにシーツの上に置いていたティッシュボックスから焦ったように数枚ティッシュを取り出すと、マユミに背を向けた。
「ケン兄?」
ケンジは右手をしきりに動かしていた。そして、すぐに「マユ、うっ!」と唸り声を上げて、背を丸め、身体を数回びくびくと脈動させた。
背後からその様子を見ていたマユミは、再び身体を起こした。
「ケン兄……どうしたの?」
振り向いて切なそうな目でマユミを見たケンジは、荒い息を整えながら、ゆっくりと妹の名を呼んだ。「マユ……」
「もしかして、一人で出しちゃったの?」
ケンジの手に握られていたティッシュの包みを見て、マユミは言った。「あたしとエッチするの……いやなの?」
ケンジはそれをゴミ箱に捨て、ゆっくりとマユミに向き直った。
「マユ、今夜は一回で十分さ」
「え?」
「いわば俺、おまえに傷を負わせちまった。ケガしたすぐ後に、その傷口を刺激する事なんかできないよ。大切な妹だからな」
「ケン兄……」マユミは涙ぐんで兄を見つめた。
「その代わり」
「うん」
「明日もおまえを抱きたい。抱いてもいいか?」
「……嬉しい、ケン兄、ケン兄……」
マユミはケンジにすがりついて、本格的に泣き始めた。
「マ、マユ」ケンジはおろおろしながら、それでもマユミの身体をぎゅっと抱きしめた。