双子の兄妹-19
コンコン。ケンジの部屋のドアがノックされた。もう少しでマユミを想いながら登り詰めるところだったケンジは、ベッドの上で凍り付いた。
「ケン兄、起きてる?」マユミの声だった。
ケンジは慌ててハーフパンツとシャツを身につけ、部屋の灯りをつけてドアを開けた。
「ど、どうしたんだ? マユ」
「怖い夢をみちゃって……」切なそうなマユミのその声に、ケンジの胸はまた締め付けられるように疼いた。
「入りなよ」
「ごめんね。起こしちゃった?」
「平気だ」
「ね、ねえ、ケン兄、」
「何だ?」
「今夜は一緒に寝てくれる?」
「えっ?!」
「一人じゃ心細くて……」
ごくりと唾を飲み込み、ケンジは少し震える声で言った。「わ、わかった。お、俺のベッド使いなよ」
「うん。ありがと」
マユミはあっさりとケンジのベッドに腰掛けた。
「で、どんな怖い夢をみたんだ?」
「ケン兄が遠くに行っちゃう夢」
「俺が?」
「そう。もうあたし、辛くて、寂しくて、悲しくて……」
「俺はどこにも行かないよ。お、おまえを一人になんかしたりしないよ」
ケンジのぎこちない、しかしひどく優しいその声を聞いたマユミの眼から涙がぽろりと落ちた。
「さあ、もう寝なよ。俺は床でいいから」
「ケン兄も一緒に来て」
「えっ?!」
「一緒に寝てよ。昔みたいに」
二人は小学校を卒業するまで一つのベッドで寝ていた。マユミは寂しがり屋で、いつもケンジの手を握って眠りについていた。当時ケンジはそんな妹が鬱陶しくて、早く一人でベッドを占領したいとずっと思っていた。
ケンジは恐る恐るマユミの隣に横になった。しかし妹に背を向けていた。「ごめん、マユ、狭いだろ」
「この方がいい。だってケン兄といると安心できるもん」そう言ってマユミはケットの半分をケンジの身体に掛けた。
「じゃ、じゃあ、灯り消すから」
「うん」
ケンジは枕元の灯りを消した。
部屋は完全には暗くならなかった。ベランダの窓から、家の近くに立っている街灯の白い灯りが、部屋全体をぼんやりとモノトーンに染めていた。
しばらく沈黙が流れた。ケンジは自分の熱い呼吸音をマユミに聞かれるのが気まずくて必死で息を殺していた。しかし背中に寄り添ったマユミの身体の温もりと柔らかさと甘い匂いがケンジの身体をどんどん熱くしていく。身体の中心にある分身も熱く硬く大きくなって脈動を始めている。もはやケンジはこのまま眠りにつく事が叶わない程爆発寸前に高まっていた。
「ケン兄、」
マユミが囁くような声で言った。
「…………」ケンジは荒くなっている呼吸をこれ以上抑えるのは不可能だと諦めかけていた。
マユミは背後からケンジのシャツをめくり上げた。そして汗ばんだ素肌に直に触れたまま腕を前に回し、彼の胸を優しくさすった。
ケンジはびっくりして声を上げた。「マ、マユ!」
「ケン兄、あたし……」
マユミは手をケンジのハーフパンツの中に忍ばせた。そして彼が身につけたままの小さなショーツの上から、ペニスに軽く触れた。
「あ!」ケンジはビクンと身体を硬直させた。
「ケン兄……お願いが……あるの」
「マ、マユ……」
「あたしを……抱いて」