双子の兄妹-13
部室の前でケンジは、リュックを下ろしながら、噴き出した汗を首に掛けたタオルで拭った。
拓志がエナメルバッグを担ぎ直しながら言った。
「何だよ、ケンジ、おまえチャリはどうした?」
「マユに貸した」ケンジは言った。
「何だと?! マユミちゃんに? なんで」
色めき立った拓志の態度に、少したじろいだ様子でケンジは答えた。
「マ、マユの自転車が昨夜パンクしちまってさ、あいつも朝早いから俺のを貸してやったんだ」
拓志は部室の中でパック入りの豆乳を飲んでいた康男に向かって大声を上げた。
「康男、聞いてくれ、こいつマユミちゃんに自分のチャリ、貸してやったんだと」
「何っ?!」
康男はいきなり立ち上がった。「って事は、ケンジ、マユミちゃんはおまえと間接エッチしたって事なんだな?」
「なっ!」ケンジもいきなり大声を出した。「な、何だよ、『間接エッチ』って!」
「だってそうだろ? おまえの跨がったサドルにマユミちゃんが股間を擦りつけてるって事だろ?」
「ばっ!」ケンジは真っ赤になって言葉を失った。
拓志が呆れたように言った。
「康男の妄想はぶっとんでるな、相変わらず」