そして、大人になる-7
「…!」
「クッ、不細工」
「!!……不意打ち……初キスが不意打ちなんて」
「はっ、油断大敵だ」
「………アル」
「あん?」
「愛してる……」
「あぁ……だから?」
「だから、もう一回。ちゃんと」
「よく言えました」
温かく、穏やかな気分。
初めて温もりをくれた彼女と、
ずっとこの手を繋いで、この場所で。
この明るい陽の下で、
一緒にいられたら良い。
過去の自分が今の自分を形成してきたのなら、
今のこの想いは、ヤヨと歩んでゆくこれから先の気持ちを形成している筈だ。
通り過ぎたすべての過程の根はここにある。
俺はゆっくりと目を閉じ、5年前と同じような、額へのキスを送った。あの日と違う2人のそれは、春のせいか、はたまた違うのか…幾分暖かさを感じた。
新春、満開の桜舞うこの始まりの場所で―――
幼く青い蕾から、大人になった2人は今度こそ、まるで童話のような……
永遠の、愛を誓おう。