クリスマスブルー-9
… … … …
それから数日が経った。
「聞いて欲しい事って何よ?」
「アツコにもちょっと関係ある事なんだけどね。」
「私に?…へぇ、何よ?」
マキは手に小さな紙切れをもっていたので私は何だろうと思ってずっとその折り畳まれた紙切れを見ていたのだけど、それはドーナツショップのレシートで話とは何の関係もなかった。
「あのさぁ…クリスマスの彼ね…」
「あぁ…あの時の?」
「奥さんと子供がいるんだって…それでも良ければ付き合ってくれって…
ねぇ、私どうしよう?」
私はなぜかクスっと笑った。
こんなヤツなんだって安堵感と、それでもちゃっかり連絡は取り合ってたんだというマキの狡猾さに…
「さぁ…私には分からないわよ。」
「私、本気だったのに…
生でもさせてあげたし…」
マキはそういうと手に持ったレシートを寒気の中に投げ捨てた。
レシートはすぐに地面に落ちて、その後風にさらわれてどこかに吹かれた。
「今年のクリスマスはブルーじゃなきゃいいよね。」
見上げた東京の空は冷えた空気の中でどこまでも晴れ渡っていた。
完