誠実な男?-5
臼井陽介の言葉にぐうの音も出なくなる。
あたしは、下唇を白くなるほど噛み締めて俯いた。
確かに愛と言う言葉を盾にして逃げていたのも認める。
でも……、そんなにセックスって大事なものなの?
子供を作る目的でもなく、気持ちいいからってただそれだけで。
身体を重ねる意味がそれでもわからないでいるあたしに、臼井陽介はさらに続けた。
「お前は、彼氏にもっと触れたいとか思ったことねえの?」
「え?」
「キスして、抱き合ってさ、もっともっと繋がりたいとか思わない?」
臼井陽介はやけに真面目な顔してあたしを見つめていた。
正直、そう思ったことは、あるにはある。
でも……。
「……怖いのよ」
「ああ、初めては痛いって言うしな」
「違う、そうじゃない」
あたしは、ゆっくり首を横に振ってから、さらに続けた。
「裸を見られることが怖いの」