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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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誠実な男?-4

あたしの突拍子のない質問に、キョトンと目を丸くしてこちらを見上げる臼井陽介。


意外とあどけない表情を不覚にもカワイイと思ってしまったあたしは、あたふた目を泳がせて彼の視線から逃れようとした。


「そりゃ……」


泳いだ目が、やっと自分のブーツに落ち着いたと思った所で、彼の言葉があたしのつむじ辺りに投げ掛けられたもんだから、あたしはバッと顔を上げて彼の答えを待った。


「別れるに決まってんじゃん」


予想外の答えに、あたしは頭をハンマーか何かでかち割られたような衝撃を受けた。


「付き合って3ヶ月だろ? それで一切をお預けなんて無理に決まってんじゃん。速攻別れる……か、他にも女作るかだな」


「一切をお預けってわけじゃないわよ! キスまでなら……」


「はあ? 何生ぬるいこと言ってんだよ。キスだけなんて、いい年した男と女がガキのおままごとみたいな交際で満足するわけねえだろ」


奴は、呆れたように深いため息をついてジロリとあたしを見た。


ショックだった。


好きな女のためなら我慢できるのが愛、そう思っていたあたしの概念を根底から覆され、あたしと優真先輩が築いてきた時間を、間接的に“ガキのおままごと”と揶揄されて。


涙がジワリと滲んでくる。


やっぱりコイツに相談なんてそもそもが間違っていたんだ。


コイツと優真先輩とじゃ、誠実さが違うんだから。


「あんたの頭ん中はそういうことばかりかもしれないけど、そればっかりが全てってわけじゃないでしょ!」


そう言ってあたしは優真先輩の優しい笑顔を思い出す。


あたしのバカ話で楽しそうに笑う顔、あたしがおいしいものを食べてる時に見せる嬉しそうな顔、キスした後のはにかんだ笑顔……。


こんな素敵な人が頭ん中はエッチなことを考えてるなんて、絶対信じられない。


でも、そんなあたしの想いを見透かしたように、奴は苦笑いを浮かべ、


「わかってねえなあ、男と女なんてヤってなんぼだろうが。
お前のままごとに付き合ってる男の身になってみろよ?

好きな女を抱きたいのは男として当たり前の感情なんだよ。
それを愛とか都合のいい言葉で逃げて、何様のつもりだ?」


と、再び呆れた声でため息をついた。




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