痛み-1
「りつ、痛かった?」
「…え?なんで?」
「いや、あんまり反応よくなかったから…」
「そう?よかったよ。」
「…そう、ならよかった。」
秋の始め、西日の差すアパートで、太一とセックスをしていた。
太一との行為は、ますます行えなくなっていた。
それどころか、キスもしたくなくなっていた。
別れなきゃ。
そう思っていた。
なのに、私はなかなか踏ん切りがつかなかった。
5年間という時間が重すぎた。
今日こそ、と思うと、
高校生の時、一緒に下校した帰り道とか、
短大生の時、貧乏旅行したこととか、
余計な事を思い出してしまい、言い出す事が出来なかった。