痛み-5
「そっかー、別れちゃったかー。」
私はしょうちゃんと飲みにきていた。
しょうちゃんはビールをこくこくと喉を鳴らしながら飲みきる。
「別れちゃったー。」
私はカシスオレンジで酔っぱらっていた。
「明るいなー。自棄になってんのー?」
「自棄になんてなってなーい。」
「揉めなかったのー?」
「ちょぉっとだけ揉めたかなー?」
実際、ちょっとではなかった。
ファミレスで話しの決着は、つかなかった。
そこから2週間ほど、揉めた。私たちは主に電話で揉めた。1度会って、また揉めた。
嫌な話しを沢山した。嫌で、その上、どうでもよい事ばかりだった。
くたくたに疲れて、もうどうでもいいや、となった時、太一はやっと別れることを許した。
太一も、もうどうでもよくなっていたんだと思う。
恋愛の終わりは、お互いをぼろぼろにし合って、
見られるものじゃないな、と思った。
切なさとか、そういう小綺麗なものは何もなかった。
太一は最後まで、私の浮気を知る事はなかった。
どうか、私のせいで人間不振にならないで。
私は、私を悪役にすらさせられない。
太一の置いていった合鍵は、目につかない所にしまった。