投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

私生活
【ノンフィクション その他小説】

私生活の最初へ 私生活 51 私生活 53 私生活の最後へ

痛み-3

「別れろよ。」

早坂さんは、私が話しを終えるなりそう言った。

「…」


「別れろって言ってもらいたいから、俺に電話したんだろ?

背中押されないと踏ん切りつかないんだろ?」



図星だった。

早坂さんだったら、別れろと言ってくれると分かっていた。


私は、結局、一人では何も決められないんだな、とぼんやり考えた。


「で、別れるの?」
早坂さんは答えを急かす。

「…確かに、別れろって言ってくれると思って早坂さんに言ったんだけど…」


「だけど?」


「私たち、5年も付き合ったんだよ。

18歳からの5年間て、かなり濃いと思うんだよね。大人になる移行期間ていうか…」


「で?」



「端的に云うと、思い出が多すぎるんだよね…


楽しかった事とか、嬉しかった事とか、色々思い出しちゃって…」


早坂さんは、深くため息をついた後、


「思い出があるからって何なの?


思い出は、繰り返せないんだよ。」


と、言い切った。





しばらくして、電話を切った。


思い出は、繰り返せないのか。



私はぼんやり外を見た。日が少し短くなったな、と思った。


私生活の最初へ 私生活 51 私生活 53 私生活の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前