ボーイミーツガール-5
意識が戻ると、ボクは簡易ベッドの白いシーツの上へ仰向きに寝かされていた。淡いオレンジ色のぼうっとした明かりに照らされた天井に映った影がいくつか揺れている。光の源へ目を遣ると、驚きの光景がソコに展開されていた。
光源の手前にある隣のベッドの上には、全裸の蔵人先輩が両脚を投げ出して、ボクと同じような格好で寝転んでいて、ソノからだの上に、3人の女性が――と言うより “人型をした大きな肉の塊” が3つ――のしかかって、ふくよか過ぎる裸体を妖しく蠢かせていた。
じゅぷじゅぷ、ぴちゃぴちゃ、くちゅくちゅという湿った音が、ソコで何が為されているのかを淫靡に物語っていた。
「ナッちゃん! あぁ、ナッちゃん!!」
これは間違いなく蔵人先輩の叫び声だ。差し迫った声音には、危機感などとは全く異なる成分が、かなり多めに含まれているようだ。
「…あぁ…マーク…もっと…激しく突き上げて…」
「…蔵人さん…わたしも…ココ…触って下さい…」
「…はぁ…はぁぁぁ…いい…いいぃぃぃ…」
3人のふくよかさん――いやいや、福岡ナツコさんをはじめとした、とってもキュート&ラブリィなぽっちゃりさんたち――は、それぞれアラレもない喘ぎ声を口々に漏らしながら、先輩のからだを存分に弄んでいた。って言うか、マーク? ナツコさんは先輩をそう呼んでいるのだろうか? ややこしいこと、この上ない。
先輩の腰に跨がって波打つ裸体を上下左右に揺らしているのは、福岡さんと思しき肌のキレイな色白の女性で、別の女の人が、先輩の顔の上に騎乗して股間を擦り付けている。もう1人は、先輩の乳首に吸いついて舐め回しながら、先輩の右手を自分のまんこへ導こうとしている。
「お目覚めかしら、速水せいじ」
隣のベッドの様子から察すると、ボクが気を失っていたのは、ほんの十数分くらいのことだったようだ。名前を呼ばれた声の方へ顔を向けようとしたとき、ガチャッという音がして、今更ながら、ボクは、からだがベッドに縛りつけられていることに気づいた。
両方の手首は革製のベルトで一緒くたに締め上げられ、ベッドの枕側のパイプに鎖で繋がれていて、脚には片方ずつ鎖付きのベルトが取り付けられ、反対側のパイプの方へそれぞれ別々に固定されていた。
俯いて上半身を見ると、胸の前で結んでいたリボンは解かれ、シャツのボタンは外されて前がはだけていた。あれだけ苦労してつくった “なんちゃってバスト” も、跡形もなく何処かへ取り払われてしまっていて、無惨に剥き出しになった薄い胸板がシャツの隙間から覗いていた。
声の主――『キューティー<ピー音>』のオーダーメイド・コスチュームに身を包んだエリーちゃん(仮)――は、蔵人先輩やナツコさんたちが居るのとは反対側の、ベッドから少し離れた場所へ、腰に手を当て細身の剣を肩に担いだ “決めポーズ” ですっくと立ち、ボクを見下ろしていた。スポットライトに照らされ、お付きの黒衣たちを2人後ろに従え、悪戯っぽい余裕の笑みを浮かべながら……。
「ど、どうするつもりなの?」
ボクが掠れた声で弱々しく尋ねても、エリーちゃん(仮)は応えてくれない。既に自分だけの世界に入り込んでしまっているようだ。
「まずは、気分を盛り上げなくちゃね!」
後ろに控えた黒衣たちに剣を振り下ろして合図を送ると、2人は腰に結んだヒモを解いて細身の袴を脱ぎ下半身を露にした。お揃いのレモンイエローの下着からすらっと伸びた白い生脚が4本、オレンジ色がかった明かりに浮かび上がる。顔が頭巾で隠されているのが尚のこと艶かしさを際立たせていた。
思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。ちんこへ血液が急速に集まり始める。ソノ感じで、さっき意識を失っていた間に、ボクが装着していた股間をペッタンコに見せるためのストッキングが、ショーツなんかと一緒に取り去られてしまっているのがわかった。