好き-4
着信。
3回目の呼鈴で出る。22時ぴったり、早坂さんからのいつもの電話。
「早坂だけど。」
早坂さんは律儀にいつも名前を名乗る。
「知ってます。」
私も律儀に応える。
「知ってますじゃねぇだろ。」
声に笑みを込めながら早坂さんが云う。
早坂さんとの会話は、お互いの仕事の話しが多い。
嫌な客がいたとか、上司が気にくわないとか、平たく云えば、愚痴を言い合っていた。
思い付いた事も気にする事なく云える仲に、私たちはいつの間にか、なっていた。