第二章 媚薬地獄-9
「あはぁぁ……」
美優の肩が反射的にビクンッと跳ねた。
おぞましさなのか、または快美なのか、しなやかな首をグウーッと横に傾けては真っ白な歯が下唇を噛んでいく。
(お、おかしい……あそこが……あそこが、ひどく疼いてしまう……)
火照りだしてきた秘部は、いつしか激しい掻痒感に見舞われていた。
その感覚にじんじんとした淫熱が混ざり合い、秘部一帯がとんでもない事になっている。
子宮にも淫靡な焔が生まれ、その焔が急速に膨張しはじめていることを美優は感じとった。
「ふふふっ、奥さんも我慢強いね〜。そのバイブ使ったら、すぐにでも気持ちよくなれるのに」
耳をしゃぶられ、節くれた手に乳房を弄ばれながら、美優は再び血が滲むほど強く唇を噛み締めた。
しかし、もうこのままジッと耐えることは不可能に近かった。
V字に開いていた脚を閉じ、太ももをきつく擦り合わせていく。
みっちりと張った太ももを交互に忙しく組み替えながら、なんとか刺激を欲している陰唇を誤魔化そうとしたが、その仕草は凄まじい疼きをさらに膨らませていくだけだった。
「ハア、ハア……あっ、あっ……んっ……んくっ」
濃厚な吐息を漏らしながら、ピタリと揃えた太ももを切なそうに擦り合わせ続ける美優。
バイブを握らされている手が、ギュウッと力が込める。
頭の中で、股間に激しくバイブを突きたてている自分の姿が幾度となく浮かんでは消えた。
肉体の欲求に負けそうになると、僅かに残っている理性が何とか奮起して抑制に走った。
このような破廉恥な道具など、絶対に使いたくない。
どれほどの辱めを受けようとも、自分自身の手でそんな惨めで卑しい事はしたくない。
生まれながらに上品な生活を送ってきた美優のプライドが、消えそうになる理性を必死で捕まえた。
「すごい頑張りようだな。奥さんの変貌ぶりをじっくりと見てみたいって気持ちもあるが……それほど時間に余裕があるわけでもないしな。ふむ、ちと手伝ってやるか」
大村が鼻からフンッと息を漏らし、股間のほうへスーッと腕を伸ばしていく。
「んっ……」
かたく閉じた太ももの付け根に、大村がグリグリと手を突っ込ませてきた。
「ほらほら、そんなに強情張らずにさ、素直に脚を開きなさい。ここを弄ってほしいんでしょ? ジンジン疼いて堪らないんでしょ?」
手をこじ入れながら、大村が卑猥な言葉を綴ってくる。
美優は、閉じた太ももにギュッといっそう力をいれた。
陰唇に触れられるのが怖かった。
いま触れられたら、きっと疼き立つ肉体が堰を切ったように悶え狂うだろう。
そうなったらもう、自分の肉体を、いや、不埒になっていく情欲さえも抑制する自信がなかった。