第二章 媚薬地獄-7
視界を失くし、鋭敏になった聴覚が大村の荒い息遣いを淫靡に捉えてくる。
その荒ぶった呼吸音が、鼓膜からゾワゾワと肉体を掻き毟りながら胸奥へと集まり、それが精神にも絡み付いてくるような感じだった。
美優が、両手を後ろについて上半身を支え、腰を前に突き出してからしずしずと両膝をたてて美脚を開いていく。
この荒ぶった息遣いの持ち主は、一体どんな顔であそこを眺めているのだろう……暗闇の中、恥辱のポーズをとっている自分がとても惨めでならない。
「おや……? あらら、すでに濡れているようですね? 奥さんは辱めに興奮するタイプなのかな?」
大村が、手にしていたチューブをギュッと握り、白いクリームをたっぷりと指に出しながら意地悪く言った。
「そ、そんなこと……あっ!」
クリームを乗せた指が不意に秘裂をなぞり、美優の口が小声で鋭い悲鳴を上げた。
「あっ……な、なにをなさってるんですか!?」
「ふふふっ、言ったでしょう? 今日は奥さんにたっぷりと喜んでもらうって」
大村が、数回にわけてブチュッとクリームを押し出し、それを熱心に陰唇や内側の柔肉へと塗り込んでいく。
「ああっ、嫌ッ……お願いですから、変なことはしないでください」
ひんやりとした不気味な感触に、突き立てられている両膝がブルブルと震える。
大村が丹念に塗り込んでいる怪しげなクリームは、同じ商店街に軒を並べる漢方薬局店から仕入れてきたものだった。
そこの薬局店の店主、張元とは大の仲良しで、お互いに裏の顔も知っている。
大村が女を落とし込む際、必ずといっていいほどこの張元も絡んでいるのだ。
(この催淫クリームの威力はすでに何人もの女で実証済みだ。奥さんの、そのどこまでも上品な態度がどのように変化していくのか……くくくっ、しっかりとビデオに収めさせてもらうよ)
大村は、何度も肉層を指でかきわけては執拗にクリームを塗りたくった。
媚薬を塗り終えると、スッと立ち上がって奥のほうへ行き、密かに隠しカメラの録画ボタンを押してくる。
一年かかってようやく手に入れた美人妻を、徹底的に逃げられないようにしようとする算段だ。
「奥さん、これを持ってなさい。使いたくなったら使ってもかまわないよ」
大村は耳元で厭らしく囁き、美人妻の手にペニス型の長大なバイブを握らせた。
「な、なんですか、コレは……?」
「私の手を借りぬとも、自分で十分に気持ちよくなれる代物ですよ。使ったことありませんか?」
美優の疑問に答えながら、大村が後ろへ回ってドスンと腰を落とす。
「あっ……い、いやっ……」
背後から抱きつかれ、まわり込んできた両方の手がギュウッと豊乳を搾り上げてきた。