拾い物-7
「んじゃ……ポロでどうだ?」
「……良いんじゃない?」
ボロよりはマシ。
そんなワケでボロボロ奴隷人間は『ポロ』と呼ばれる事になった。
ゼインは何か食べるものを調達してくる、と部屋を出ていき、その間カリーとポロは2人きり。
ポロにとってはカリーも恐怖対象なので常にガチガチに緊張している。
「あのね、私はカリー。さっきの奴隷擬きはゼイン。2人で旅をして暮らしてるの」
カリーはポロの緊張を解く為に、自分達の話を始めた。
この街には仕事で来た事……買い物をしていたらポロが路地に倒れていた事……ついでに、さっき見た事は気にしないで良いという事も伝えておく。
「でね?ポロって正直言うと汚いじゃん?だからお風呂で綺麗にしない?」
カリーの話を聞いていて大分緊張が解れたポロは、戸惑いながらもコクコクと頷いた。
飲みに誘ってくれた冒険者に適当に理由をつけて断りを入れたゼインは、ついでにその食堂でお持ち帰りの食事を調達する。
宿屋に戻り部屋のドアを開けると、そこには見た事の無い可愛らしい女の子が居た。
「あ、悪ぃ」
慌てて謝り、ドアを閉めるゼイン。
部屋を間違えたかと部屋番号をチェックしたのだが……そこは自分達が借りた部屋だった。
「あれ?」
ゼインは部屋番号を指差して疑問符で頭の中をいっぱいにする。
「あははははは」
そこにけたたましい笑い声と共にカリーが現れて、ゼインの背中をバシバシ叩く。
「は?え?」
ゼインは呆気に取られつつ、部屋番号とカリーを交互に指差した。
するとカチャと音がして遠慮がちにドアが開き、先程の女の子がドアの隙間から顔を覗かせてくりくりのアイスブルーの瞳でゼインを見上げる。
「ジャーン♪」
そのドアをカリーはバーンと開けて、ゼインにその全てを見せた。
「凄い可愛いでしょお?」
確かに可愛い……可愛いのだが……。
「え?誰?」
「んもう!ポロよぉ!」
「え?!ええっ??!」
ゼインは思わず一歩下がって、ポロを上から下までじろじろ眺める。
ボサボサで長く汚なかった髪は実はふわふわの柔らかいシルバーブロンドで、今は適度な長さにカットされ、白いレースの花が付いた黒いカチューシャで飾られている。
黒いワンピースはカリーのもので、サイズは少し大きいがカリーは基本的に超ミニスカートなのでポロ的に丈は丁度良い。
首と手足首につけられた枷には黒い布が巻かれ、一見するとアクセサリーに見える。
ただ、全体的に黒だし、アクセサリーには鎖がぶら下がっているので何だかゴスロリファッションなのだが……似合っているので良しとする。