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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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拾い物-6

「あぅんっ……んあっゼインっ」

「はっ…カリー……出…すぞ……」

 いっそう大きく揺さぶられ、カリーが堪らず絶頂に昇りつめる。

「んっあっやっ…ああぁぁーーーっ!!」

「ぁぐうっ」

 カリーの締め付けにゼインは素直に身を任せ、欲望の塊を全て吐き出した。

「は……あ……あぁ……」

「ふぅ…はぁ……」

 行為後の脱力感に襲われたゼインは壁に背中を預けて、カリーごと床に座り込む。

「はぁ……気持ち良かった♪」

 カリーはゼインの額に音を立ててキスをし、結合を解いて身なりを整えた。
 ゼインも座ったままよっとズボンを上げ……ふと視線を感じてベットの方に目を向ける。

「……やべ……」

「ありゃ」

 ベットの上では、ボロ人間が体を半分起こした状態で固まっていた。
 目を覚ましたら自分の直ぐ近くで知らない人がアンアンやってたら、そりゃ固まるだろう。

 暫し3人で固まっていたが、いつまでもこうしているワケにはいかない。
 溜め息をついたゼインは、決まり悪そうに頭をガシガシ掻いた。
 たったそれだけの動きだったが、ボロ人間はビクリと体を強張らせ怯えたように縮こまる。
 ゼインにも憶えがある……奴隷商人や買い手が少し動くだけで、殴られると思って身構えたものだ。
 ゼインは小さく舌打ちをしてから、左腕の袖を捲った。

「見ろ」

 命令口調だと本能的に従うようになっている奴隷は、おずおずとゼインに目を向ける。
 ゼインの左二の腕には奴隷の印である焼き印と商品番号が刻まれていた。

「俺もそうだった」

 ゼインの焼き印を見た奴隷は自分の髪を掻きわけて後ろを向く。
 首の下の方にくっきりとした焼き印……あまりにも痛々しいそれに、カリーは思わず顔をしかめた。

「名前は?」

 ゼインは床に座ったまま奴隷に問いかける。
 落ち着くまで近づかない方が良いとの判断だ。
 名前を聞かれた奴隷は口をパクパクさせて、喋れない事をアピールする。

「ああ、改造されたか」

 泣き喚いたりすると鬱陶しいので、薬を使って喉を潰したり魔法で声を封印したりする事もあるのだ。

「じゃあ、字は?」

 ゼインと同じように床に座ったままのカリーの問いかけに、奴隷は首を横に振った。

「ふむ……じゃあ、とりあえずボロと呼ぶ……」

ゴスッ

 あまりの呼び名にカリーは間髪入れずにゼインを殴る。

「ゼインの人でなし!」

「うっせぇな。名前が分かるまでの繋ぎじゃねぇか!」

「他にもあるでしょ?!チビとかミニとか」

「てめえ、俺か?俺に言ってんのか?!」

 カリーに殴られた頭を擦りながら言い返すゼインと、チビチビと連呼するカリー。
 それを見たボロ人間は慌てて2人の間に割って入り、ゼインに抱きついてぶるぶる震えた。
 どうやら『ご主人様』に反抗する奴隷と、罰を与えようとする『ご主人様』に見えたらしく、仲間意識でゼインを庇いにきたようだ。
 こんな事をしたら自分も痛い思いをするから普通は誰が傷つこうと黙って見ているのだが……このボロ人間は優しい性格なのか、ただの馬鹿なのか……。
 ゼインとカリーはボロ人間越しに顔と見合わせて、言い合いを止める。


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