8月10日-5
なんとなく、ユウトさんの話しを、してしまった。
他の人にも、消防士のセフレがいることを云っていたけれど、
好きだとか、そういう事は云っていなかった。
しょうちゃんは、笑顔で話しを最後まで聴いて、
「恋に恋しちゃってんだね、可愛い。」
と一言云った。
「え?」
「それはね、多分、好きなんじゃなくて、意地だよ。」
「意地?」
「その消防士が彼女の事好きなのが悔しいんでしょ?
利津子ちゃんが消防士の事話してる時の顔、好きな人の事話してる顔じゃなかったよ。」
目から鱗が落ちる感じがした。
確かに私はユウトさんと付き合いたいとか、思っていない。
「…私、ムキになってたのかな。」
鱗が落ちた目から、今度は涙が落ちた。