豪華な客室-1
【豪華な客室】
新司の予想した通り、この日の温泉旅館には他に泊り客は居なかった。そのため、早い時間に到着したにも拘わらずチェックインは可能とのことで、早々に部屋に入れることを一行は喜んだ。
しかしそれよりも貸し切り状態が確認できたことの方が一行には嬉しかった。
喜ぶその内容は、瞳の「貸し切りなんて贅沢ね〜」といったことはもちろんだが、淫らな4人にはそれ以外にもある。
4人の今回の旅行の真の目的は、露天風呂で乱交を楽しむことにあるのだ。そのために広い家族露天風呂のある温泉旅館を選んだが、露天風呂だけにどうしても隣の部屋に声が筒抜けになってしまう。せっかくなので遠慮なく嬌声を出して乱交を楽しみたいと思っていたのだ。それが周りに遠慮の必要のないことを確認した4人のテンションは一気に上がった。
そんな客とは知らず、対応をしていた女将は5人の家族構成を確認して微笑んだ。
「まあ、ご結婚をするご両家の親睦のご旅行ですか。それは素晴らしいですね。羨ましいですわ」
「ええ、この旅行で一気に親睦を深めようと思いまして、それはもう深く深く」
忠は妖艶な女将に目をギラつかせながら答えた。
「じ、じゃあ、お部屋にご案内いたします」
忠の異様な雰囲気に、さっきまで抱いていたほのぼの感が雲散した女将だった。
チェックインが済み、妖艶な女将の案内で部屋に案内されるときになって瞳は戸惑った。
チェックインカウンターで忠が受け取った部屋の鍵は一つ。それに案内する女将の説明でも、やはり部屋は一つだけのようなのだ。出発前だったら同室に5人が泊ることには全く躊躇しなかったのだが、車内での淫らな行為を見た後ではこの同部屋は恐ろしい。
(これはいよいよ気を引き締めないと)
車内であんなに痴態を繰り広げた4人が、室内でどうなるかは容易に予想ができた瞳は、自身のワレメに何も入れさせない決意を秘めて股間をキュッと引き締めた。
瞳の決意とは裏腹に淫らな4人は、先を歩く女将の尻を追いながら呑気に良からぬ妄想をしていた。
(着物のケツが溜まらん)(パンツ穿いてるのかしら?)(帯をグルグル引っ張って『あ〜れ〜』と言わしたい)(おしっこはどんな格好でするのかしら)
そんな妄想をされているとは知らず、女将はしずしずと廊下を進み、突き当たりの格子戸の前で立ち止まると後ろを振り向いて微笑んだ。が、4人の食い入るような目線にその笑顔が引きつった。
「こ、こちらでございます」
(袖口から手を入れて乳首を弄りたい)(ノーパンならおまんこ濡れたら大変ね〜)(着物のまま立ちバックもいいな)(着物のままお尻をまくるとエッチだわ)
立ち止まる女将の胸元や腰の辺りをしげしげと見ながら格子戸をくぐると、玉石を敷き詰めた中庭のような空間があった。その敷き詰めた玉石の中には浮島のように飛び石が敷かれ、それを10ほど歩くとさらに引き戸に突き当たった。
忠が手にした鍵で引き戸を開けると、女性陣に先に入るように促した。
「うわ〜、豪勢ねえ〜」
部屋に入った美弥子は開口一番に感嘆の声を上げた。
続いて入った面々も部屋の豪華さにため息をついた。何しろ今回の旅行費用は忠が当てた宝くじの高額当選金を充てている。予算を度外視してとにかく楽しめる部屋を選んだのだ。
玄関スペースには8畳の板張りの前室。前室に入って左手に洗面所とトイレのスペースがある。前室の突きあたりには左右の部屋に入るふすまがあり、右のふすまを引くと8畳と12畳の縦に二間が続く和室がある。左のふすまを引くと8畳の洋間があり、8畳の和室と隣り合わせになっていて、互いに間仕切る引き戸を開けると左右の部屋は行き来ができるようになっていた。
右側の8畳の和室を進み奥の12畳に入ると、左手に大きな吐き出しの窓があり、その吐き出し窓を一歩出ると、広い露天風呂になっていた。この客室は右側の奥の12畳の和室と左側の8畳の洋室で、L字型に露天風呂を囲うような間取りになっていた。
外の露天風呂に目を向けると、縦1.5m横2mの檜の浴槽と、縦2.5m横4mほどの岩風呂の二種類の浴槽があった。5人が一緒に入っても充分な広さだった。
「ああん、どっちの部屋からも入浴シーンがモロ見えね。男性陣、エッチな目で覗いちゃダメよ」
美弥子は胸元を手で隠す真似をした。
「そんなことを言って部屋に向かってM字開脚しないで下さいよ」
浮かれ気分の新司も、美弥子の陽気に釣られてついつい調子に乗ってしまった。
「いやあん、新司さんのエッチ」
美弥子はそう言いながら手を股間に当てて妖しく微笑んだ。