夏-4
「どんな子が来るかと思ったら、意外と真面目そうだな」
早坂さんはそう言いながら私の顔をまじまじと見た。
早坂さんは、質のよさそうなスーツを着て、黒縁の眼鏡をかけていた。
よくみるとそこまで格好いいわけではないけれど、雰囲気は所謂「イケメン」だった。
「…いい香りする」
思わず言ってしまうくらい、早坂さんはいい香りをまとっていた。
「嗅ぐ?」
私の鼻に首元を近づけ、早坂さんは香水の匂いを嗅がせた。
「…飴みたいな匂いがする」
「飴って…」
早坂さんが頬を緩める。悪い人ではなさそうだなと、なんとなく思った。