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Twin's Story 10 "Cherry Chocolate Time"
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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約束-8

 部屋に戻った龍は、ケータイの着信有りを示すランプが点滅していることに気づいて、すぐにそれを手に取った。
 「あ、真雪からだ。」
 龍は短縮ダイヤルを押してケータイを耳に当てた。すぐに通話が繋がった。
 『クリスマスイブは、絶対うちに来てねっ!』いきなり真雪がケータイの向こうで力んで叫んだ。
 突然の真雪の大声に龍は驚いて言った。「ま、真雪、な、何もそんな・・・、」
 『24日だよ、絶対だからねっ!約束したから!』
 「わ、わかった。い、行くよ、必ず。」龍はたじたじとなって情けない声を出した。
 『暖炉の前で夕方6時。待ってるから。じゃあね。』
 電話が一方的に切られた。

 クリスマスイブ。約束の時刻に、龍は『シンチョコ』離れのドアをそっと開け、小さな声で言った。「真雪ー、来たよー。」
 「龍っ!」いきなり真雪が龍に飛びかかった。
 「わっ!ま、真雪!」
 真雪はしばらく龍にしがみついたまま離れなかった。

 「真雪、なに興奮してるの?」
 暖炉の前でコートを脱ぎながら龍は言った。
 「ごめん、龍、ちょっと落ち着くから。」真雪は直立不動で目を閉じ、胸を押さえて何度も深呼吸をした。
 龍は暖炉の前に座って、そんな真雪の姿を見上げ、呆れたように微笑んだ。「変な真雪・・・。」
 テーブルには薪の形のクリスマスケーキ『ビュッシュ・ド・ノエル』。デコペンで『龍&真雪 in Love』と書いてある。龍の好きなポテトサラダやハムやチーズの盛り合わせ、それにチキンナゲットの皿がそれを取り囲んでいる。背後の暖炉には赤々と炎が燃え立っていた。そしてその暖炉の上に小さなクリスマスツリー。色とりどりのオーナメントが吊されている。
 「ケン兄は春菜を誘って出かけた。今夜は帰ってこない。」真雪が龍の正面に正座し、顔をのぞき込んで言った。「ケニーパパもマユミママも、街で二人きりのイブ。今夜は帰ってこない。」
 「そ、そう・・。」
 「だ、だから、今夜はあたしと龍、二人きり。」真雪は龍の手を取った。真雪の手のひらは少し汗ばみ、細かく震えていた。
 「真雪、まだ落ち着いてないように見えるけど・・・・。」
 「龍っ!」真雪は噛みつかんばかりに龍に迫り、いきなり大声を出した。
 「は、はいっ!」
 「あ、あたしと、け、け、結婚してっ!」
 龍は目の前の真雪に負けないぐらい目を大きく見開いて絶句した。
 「・・・・あたしと、結婚・・・して。」真雪は泣きそうな目をして龍を見つめた。
 龍はにっこりと笑った。「もちろん。俺もそのつもり。結婚しよう!真雪。」
 急に緊張が解けた真雪は、大きなため息を遠慮なくついた。目から涙がぽろぽろとこぼれた。
 「龍、龍、あたし・・・・・」
 龍は真雪の身体をそっと抱きしめ、彼女の耳元で囁いた。
 「先を越されちゃったね。」
 「え?」
 「実は、俺も言おうと思ってた。今夜。」
 龍は真雪を抱いていた腕を解いた。
 「ほんとに?」真雪は涙を拭って笑顔で言った。
 「でも、どうやって、いつ言い出したもんかな、ってここに来るまでの間、ずっと考えてた。」
 「そうだったんだ・・・・。嬉しい、あたし・・・・。」
 「がんばったね。真雪。君の勇気を讃えるよ。」


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