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Twin's Story 10 "Cherry Chocolate Time"
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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約束-7

 海棠家の夕餉の時間。
 「ごちそうさま。」箸を置いた龍が続けた「ねえ、父さん、」
 「なんだ?」
 「改まって話があるんだけど。」
 「改まって?」
 「うん。母さんにも聞いて欲しいことなんだけどさ。」
 「そうか。それじゃ、夕飯の片付けが済んでから聞いてやろう。」ミカが言った。

 リビングで、龍は両親と向かい合った。ケンジとミカの前にはコーヒー、龍の前に置かれたホットミルクのカップからも湯気が立ち上っている。
 「人生経験の豊かな二人に訊きたいことがあるんだけどさ。」
 「なんだ、それ。何が人生経験の豊かな、だ。」
 「愛し合ってる二人が、付き合いを続けていくための秘訣って、何?」
 「愛し合ってりゃ続くだろ。自ずと。」ミカがぶっきらぼうに言った。「愛し合う、っていう事実が揺らいだ時に危機がやって来る、そんなもんだ。」
 「なるほど。そりゃそうだ。」
 「なに?龍、お前真雪と揺らいでるのか?」ケンジが心配そうに訊いた。
 「危なかった。でも修復した。」
 ケンジが持っていたカップをソーサーに戻した。「危なかった?」
 「修復できたことを前提に聞いてね、今からの話。」
 「わかった。」
 「真雪が、この前の実習中に不倫した。」
 「ふ、不倫?!」
 「いや、俺たちまだ夫婦じゃないから、不倫なんて言わないのかも知れないけど、つまり、妻子ある男性と三日続けて夜を共にした。」龍はうつむいた。
 「そ、それって・・・・・。」ケンジが苦しそうに言った。
 「龍・・・・」ミカも辛そうな顔で龍を見つめた。
 龍は顔を上げた。「俺、そのことを真雪本人から聞いた時、胸が爆発しそうだった。身体中が燃えるように熱くなって、涙も出ないぐらい悔しさと怒りがこみ上げてきた。」
 「そんなことが・・・・。」
 「でも、何に対しての怒りなのか、いまだにわからない。」
 「真雪は、」ミカが言いかけた言葉を龍は遮って言った。
 「でも、真雪は実習から帰ってきた晩に、俺に抱かれながら泣き叫び続けたんだ。俺の名を何度も叫び、ごめんなさいって何度も何度も繰り返して、シーツをぐしょぐしょにして泣き叫んだ。俺、そんな真雪の姿を見るに堪えなかった。」
 「そうだったのか・・・・。」
 「何があったのか、詳しく聞いたのはその後。でもね、俺が真雪に高校の写真部のことを電話で話した時のことを思い出して、」
 「写真部のこと?」
 「そう。女の先輩に親切にされた、って嬉しそうに話したこと。考えてみればとっても無神経なことだよね。それって。」
 「真雪は、丁度その時きっとお前に会いたくて、抱かれたくてしょうがなかったんだろう。寂しかったんだな、きっと。」
 「俺もそう思う。だから罪の半分は俺のものだって思ったら、なおさら真雪がかわいそうになって、って言うか、申し訳ないって思って・・・・。自分が許せない気持ちになってた。」
 「ありがちなことだが、その結果は痛すぎるな。」ミカが言った。「そういう迷いや誘惑は、たびたびやってくるが、たいていそんな大きなことにまで発展する前に、収まるもんだ。不幸だったとしか言いようがないな、特に真雪にとっては。」
 「食事に誘われて、お酒を飲まされて、そのままホテルに連れ込まれて・・・・。」
 「もう言うな!思い出したくもないことなんだろ?」ケンジが強い口調で言った。
 「俺、結果的に真雪を赦したことになってるけど、まだ胸に大きなモノがつかえている気がする。」
 「時間がかかるだろうな。その傷が癒えるのには。お前も真雪も。」
 「だから、何かが欲しいんだ、何かが・・・。」
 「何か?」
 「たぶん杞憂だとは・・・思うけど、気を抜いたら、真雪の手がまたするりと俺の手から離れていくような気がして・・・。そんなことはもうないと思うけど・・・・。」
 「ないだろう。こんな痛い出来事を経験すれば、もう今後はないだろう。『雨降って地固まる』ってやつだ。」
 「龍が今、欲しいものは、おそらく、お互いの気持ちを信じるっていう証拠、みたいなものかな。」ケンジが言った。
 「真雪を抱いて、愛し合うだけじゃ、落ち着かない、そんな感じ。そう、証拠、そうかも知れない。」
 「結論から言えば、時間が解決してくれる。それは間違いないことだよ。」ミカが言った。「お前が今、落ち着かないことはわかる。でもそれで焦って妙なことを真雪に要求したりするのは止めた方がいい。」
 「要求?」
 「いつも真雪を見張り、真雪の行動をチェックし、頻繁にメールしたり電話したり・・・・。そういうことはするな。絶対に。逆効果だ。」
 「わかってる。そんなことはストーカーがやることだからね。」
 「何度も言うようだが、いずれ時間が経てば消えていくさ、その胸のつかえも。」ケンジが言った。
 「一緒に食事をしたり、何かプレゼントしたり、とにかくいっぱい話すことだね。それが付き合いを続ける秘訣って言えるかも。」
 「丁度クリスマスも近いし。」ケンジが言った。「ま、お前の小遣いじゃ、大した物は買えないだろうが、気は心、高価なモノでなくても、お前の気持ちがこもっていれば立派なプレゼントだよ。」
 「そう思うんならさ、小遣い額アップしてよ。」
 「むむ・・やぶ蛇だったか・・・。」
 「いいよ。特別に今回だけ、真雪へのプレゼントを奮発するっていう条件で倍額にしてやろう。」ミカが言った。
 「あ、ありがとうございますっ!母上!」龍は床に土下座して頭を下げた。
 「お前が真雪の気持ちと身体ををしっかりと受け止めてやったご褒美、だな。」ケンジも言ってテーブルのカップを持ち上げた。
 「ごめんね、父さん、コーヒー冷めちゃったでしょ?」
 「構わんよ。ミカの愛が冷めることに比べたら、このぐらい。」
 「あたしの愛をコーヒーと一緒にすんな。」ミカは笑った。


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