5月20日-5
不覚にも、ドキッとしてしまった。
こんなの、リップサービスに決まっている。頭のどこかで現実を見ようとするのに、顔はみるみる赤くなった。
それを見透かしたように、ユウトさんは面白そうに私を見ていた。
そういえば男の人に可愛いなんて言われた事殆どなかった。
「どうしたの?」
「いや、べつに…」
ミラー越しの視線から逃れるために窓を見る。
相変わらず強い雨が地面を叩いていた。
私みたいな経験不足なやつが、こんな事するべきじゃなかったんだ。
やっと、後悔とか、そういう感情が沸き始めた。私は感情が沸くのが本当に遅いな。
そう感じたとき、車はもうラブホテルに到着していた。