5月20日-3
「名前、なんていうの?」
車を走らせながらユウトさんは聞いた。
「利津子です」
「じゃあ、りっちゃんね」
「あ、はぁ…」
ユウトさんは後部座席に乗った私をミラー越しに見て笑顔を作った。
窓の外は雨。今年の梅雨は、長いらしい。
きっと、こういう事慣れてるんだろうな、となんとなく思った。
ユウトさんのハンドルを握る腕に目をやった。筋肉質で、太い腕。
この人と、私これからエッチするんだな、とぼんやり思った。
太一以外の人と初めて、する。
実感が沸かないのか、緊張はしていなかった。
ただ、自分の置かれている状況が他人事みたいで、ただただ頭がぼんやりとしていた。