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『BLUE』
【スポーツ その他小説】

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『BLUE』-12

外で見てわかってたことだが、ドーム内の広さは相当なものだった。
プール以外にもトレーニングルーム、小体育館。
二階にはバッティングセンターまで設置されているらしくスポーツジムというよりは巨大なレジャー施設と言ったほうが正しいのかもしれない。

そそくさと着替えを済ませプールに出ると中は結構広く、床も小綺麗に清掃されている。
見渡すと利用客はほとんど子供で小学生くらいの年齢層が一番多かった。
大人は職員が数人いるだけで割りかし背の高い涼生が入ってくるとひどく浮いて見えた。
水原の姿はまだ無く、プールサイドの隅に置いてあった椅子に座って彼女を待つことにした。

「オイ」

急に声をかけられ、顔を上げると先程の小学生グループの一つが目の前に立って涼生を睨んでいた。

「兄ちゃん、見ない顔だけど高校生?」

その中のリーダー格らしき子が一歩前に出た。

「ああ、そうだよ。」

涼生が答えると子供は眉をひそめて連れの子達と顔を見合わせた。
その様子をしばらく黙って見てると、リーダー格がさっきより厳しい視線をこちらに向けてきた。

「よく聞け兄ちゃん。この時間はなぁ、俺たちしか使っちゃいけないの。
知らないのかい?」

確かに館内には職員の他には子供しか見てない。
ただのスポーツジムじゃないのか、単に客が来ないだけなのか。どっちにしろ理由を知らない涼生には理解できなかった。

「よく分からないけど、君たちはこのジムの会員か何か?」

涼生の問いに一々顔を見合わせる子供たち。
何だか妙に大人っぽい仕草にイラつきながらも、そこは本物の大人として必死に隠した。

「まあ、同じようなものだよ。
・・・とにかく今から練習なんだ。だからさっさと兄ちゃんは出てってよ。」

子供が当たり前のようにズバズバ言ってくるので涼生は何も言い返せない。
次第に自分がここに居るのが悪いような気さえしてきた。
辺りを見回すと他の子供たちも全員こちらのやり取りに注目している。

―この雰囲気は不味いよな・・・

釈然としないが一旦引き上げたほうがいいだろうか。とにかく水原に会って文句を言いたい気分になった。
涼生が立ち上がると更衣室前の方向から誰か駆けてくる。
水原か?助かった!!
、と思ったがよく見ると男だった。


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