砂時計-1
綺麗に咲いたバラの花を貰った。
貴方に似合う花だよって。
私はそれを一輪刺しにした。
大人になりたくない。
ずっとこのままでいたい…。
そんな思いから、部屋中の時計という時計の針を折った。
腕に当たって砂時計が転がった。
それでも私は時計の針を全て折り曲げ、歯車を外す。
「どうしてオトナにならなきゃいけないの?」
人は答える。
『時間の流れだから』
『そうなる運命だから』
なんで?
大人になってしまったら
今持っているモノが全部なくなっちゃうよ。
このバラの花だって…。
何も無くしたくない。
だから大人になりたくない…。
今まで過ぎたトキに逆らって、長く伸びた髪を短く切った。
そんな事をしたって、砂は私に降り積もるのに……
トキは永遠に流れ続ける。
それなら、私自身のトキを止めればいいのかな。
薔薇の花びらが散り始めた頃、私は覚めない眠りについた。