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ダブルクロス〜Original Characters
【二次創作 その他小説】

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ダブルクロス〜Original Characters-4

 獣並の破壊力、見切れない程のスピード、正確に敵を狙える身体のコントロール。亮子への怒りが、それらを増幅させる。一瞬で伸ばした俺のかぎ爪は、亮子の身体をあっさりと貫き、一撃で彼女を葬り去ることができた。

 それが、全てが終わった瞬間だった。

 正直なところ、FHの科学力は凄いと思う。それが無かったら、俺は生まれていなかったわけだし。

 俺は他人のコピー品、いわゆる『複製体』と呼ばれる人間だ。はっきり言って、人間かどうかにも少しばかり疑問が残っている。
 レゲネイドウイルスが発症してからわずか二年だってのに、よくコピー人間なんて作れたもんだと思う。
 さて、俺が三つ目のシンドロームを持つ理由なんだが、原因はそこに有るらしい。どうやら複製体には三つ目のシンドロームを持つか、二つのシンドロームのどちらかが、ピュアブリード並の能力を出せる奴がほとんどらしい。自分の基となった奴のシンドロームの一つと、自分で二つ、計三つだ。まぁ人数も少ないみたいだけどな。

 そんでFHで訓練を受けていた俺だけど、人を殺したり、ジャーム化していく奴らを見てると、だんだんと恐くなってきた。
 普通の人間と同じ生活がしたい。だから……脱走した。それが所謂脱退ってことさ。
 あちこち逃げ回って、戦って、また逃げては戦って。そせれが続いていた。そして今回は犠牲者が。


「ガーゴイル君」
「…蕎麦屋に居たあんたか」
 いつの間にか、蕎麦屋で俺に手紙を渡したUGNのエージェントがそこに居た。
「君は冷静さを失っているようだね」
「知るかよ、そんなこと」
「まぁ落ち着いてくれ。いろいろ説明するから。先ずは…」
 そのUGNのエージェントの話は、俺を驚かせるものばかりだった。



 一週間後。
「龍斗〜早くしないと仕事に遅れるよ〜」
「判ってるよ!それに潤菜、お前だってこれから練習だろ!」
「私はまだ時間に余裕有るも〜ん」
「う…ったく、ちゃんとやって来いよな!」
 俺は山吹学園高校の制服を着ている。そしてさらに、潤菜も生きている。

 順を追って説明すると、潤菜が亮子に殺された時、潤菜は『亮子に裏切られて殺された』という意識が心のどこかに有ったらしい。それが原因で、潤菜はオーヴァードとして目覚めてしまったのだ。つまり、あの時潤菜は目を覚ましていなかっただけで、ちゃんと生きていたのだ。しかし話を聞くと、そんな現象も稀では無いらしい。
 俺はまだ潤菜のシンドロームを聞かされていない。けれど、これはこれで大変なことになった。
 先ず、オーヴァードは人に知られてはいけない。それが混乱を招く要因となるからだ。もちろん親にも言えない。
 さらに、潤菜自身がレゲネイドウイルスに負けてジャーム化する心配もある。それを防ぐために、彼女は放課後、UGNの施設で訓練を受けているのだ。つまり…さっき言ってた『練習』ってのがそれだ。本当は施設に移されて生活を送るのが最適だそいなんだけど、UGNは俺が傍にいて監視、育成をすれば問題無いと判断したらしい。全く、責任を押し付けないで欲しいものだ。

 俺はというと、UGNからのバックアップを得て、一人暮しを開始した。いつまでも居候のままでいるわけにはいかないしな。その代わり、さっきも言った通り、未だオーヴァードとして不安定な潤菜の監視を命じられ、今は家だけで無く、学校でも潤菜の傍に居る必要が出て来た。この制服はそのせいだ。
 正直…高校の授業内容がよく解らん。潤菜のことよりもそっちで悩みそうだ。


 そういえば昔FHに居た頃、仲間だった奴に言われたことがある。
「俺達の世界のキーワードは『ダブルクロス』なんだ」って。
 DoubleCross.裏切りを意味する言葉。俺はFHを裏切ったし、潤菜は友達に裏切られたからオーヴァードになっちまった。あながち間違いじゃないんだなぁ、って今更思う。
 でもこれだけは言える。え?何をかって?それはな、俺は何が有っても、潤菜と、そしてこの日常だけは裏切らないってことさ。


END


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