第一章 卑劣な罠-19
「あっ……」
美優の眼が、逸物の驚愕な姿に慄いた。
先ほど射精したばかりの逸物……それがムックリと起き上がってきていたのは知っている。
しかし、そのグロテスクな生き物は、先端からネットリとした透明液をふんだんに滴らせながら隆々とそびえ立っていたのだ。
美優は、背に冷たいものを感じながらグッと息を呑んだ。
「どうした? 何を躊躇っている? 早くしなさい」
催促しながら腕を伸ばしていく大村は、燃え上がっている美優の秘所を今度は指でまさぐりはじめていた。
淫熱の焔に見舞われている臀部へ再び愛撫を開始され、おもわずビクンッと身体が痙攣してしまう。
虚ろな眼を股間に向けると、赤黒い剛直はさらに涎の量を増やしながら不気味に揺れていた。
美優は、肉体を蝕んでいく悦楽に下肢の麻痺を感じながら、のろりと肉幹の根を握った。
そして、ぽってりとした唇を開き、ゆっくりと顔を寄せていった。
ムッとするような悪臭がすぐに鼻腔をついてきたが、それでも美優は表情を変えることなく亀頭へ唇を被せていった。
蒸し暑い室内の中―――無造作に敷かれた布団の上で、小柄な華奢男と流麗な女の裸体が汗まみれになって軟体動物のようにクネっている。
互いの性器へと顔を寄せ合いながら、貪欲にそこを貪っている姿は実に野性的で生々しかった。
存在感ある大きなヒップにむしゃぶりついている男が、二本の指で秘肉を弄くりながら器用に秘豆を舌で転がしていく。
女もまた、積極的な態度を見せていた。
男の痛烈な愛撫にときおりギュッと瞳を伏せ、しばし裸身をプルプルと震わせては我に返ったように眼を開け、口にしている剛直に粘っこく舌を絡めていく。
上下に重なり、肌を密着させながら淫猥に絡み合っていたその行為は、女の甲高い悲鳴を合図に終了した。
「奥さん、最後のイキっぷりは激しかったな。で、何度イッたんだね? 正直に答えなさい」
女の愛液で口のまわりをベチョベチョにしている大村が、横たわったまま大きく息づいている美優に聞く。
「はあ、はあ……さ、三回……です」
美優は、息を切らしながら正直に答えた。
汗みどろの裸身は、凄まじい絶頂感の余韻でまだ痙攣している。
十分すぎるほど昂ぶられていたクリトリスを一気に責め立てられた時は、途中で何度か気を失いそうになった。
大村の愛撫は、尋常でない愉悦を幾度も作り出してくる。
その強大な快楽を体感させられた美優は、ひどく泥酔しながらも、とてつもない恐怖を感じてならなかった。
「ふふふっ、奥さんがイッたところで、次は私の番だな。二発目はここでしっかりと抜かせてもらうよ」
大村が、ヌラついた口まわりをベロリと長い舌で舐めながら美優の下半身にまとわりついてきた。