第一章 卑劣な罠-18
「ほほう、身体の方はすごく素直なもんだ」
大村が、押し付けた唇からヌーッと長い舌を突き出していく。
「い、いやっ……や、やめて……」
男の気色の悪い舌が、陰唇の内にある花ビラを一枚ずつ舐めては捲り返す。
そうしながら内肉の粘膜へと丹念に舌を這わせ、それによって滲み出てくる淫蜜に唇を押し当て、わざと音を立てて啜り上げる。
大村は、ここでも女体の性感帯に絶妙な愛撫を見せていた。
ざらついた舌全体をうっすらと口を開いている秘裂の中心にベタッと押し付けては、ベロン、ベロン、と、下から上へ大きく舐め上げていく。
そこから聞こえてくる淫靡な音が、大村にとって何とも心地よい。
美優のほうは、言い訳も出来ない状況に酷く困惑しているようだ。
(あ、ああぁ……か、感じちゃう……ダ、ダメよ……こんな男に……)
指をいっさい使わず、徹底的に舌技だけで美優の秘所を責め立てていく大村。
徘徊する舌は太ももから尻肉、もちろんアヌスにまで行動範囲を広げており、秘所以外に点在する性感帯もしっかりと昂ぶらせている。
美優の秘肉が淫蜜を滲み出そうものなら、すぐに大村の口がそこを捉え、聞こえよがしにチュルチュルと大きな音をたてて吸い上げていった。
「うっ……くっ……うぅ」
わななく美優の唇から、腹の底から搾り出されてくるような呻きが漏れ出していく。
あまりにも卓越した大村の舌技に、もはや声を完全に押し殺すなど不可能だった。
ピンポイントを痛烈に刺激してくる愛撫に、肉体が悩ましい愉悦に揉み込まれてしまう。
総身には甘美な電流によって鳥肌がたち、悦楽の起点となっている臀部一体は小刻みに震えている。
まだ絶頂には達していないが、とてつもない快楽は常にその手前で波立っていた。
漏れてしまう羞恥の声を必死になって押し殺そうとはしているのだが、気力を奮い立たせては大村の愛撫がそれを打ち消していく。
その繰り返しだった。
(あ、あなた……許して……わたし……わたし……)
断続的に訪れてくる大きな愉悦の波は、いまや美優の思考すら奪うほどの威力があった。
「んあっ!」
けっして触れようとしなかった鋭敏な部分に、大村の舌先がチロッと当たった。
ただそれだけの刺激で、美優の口は甲高い悲鳴を上げた。
「奥さん、いくら気持ちいいからって、自分の仕事を疎かにしちゃいかんよ。いいか、愛情込めて、しっかりと私にも愛撫しなさい」
大村が秘所から口を離し、注意しながら下にドサッと頭を落とした。
「ああっ……」
痛烈な愛撫をいったん中止され、震えの止まらない唇が濃厚な吐息を静かに吐き出していく。
こんな卑劣な男の愛撫に屈してしまったなど、絶対に知られたくなかった。
しかし、堪え切れなかった淫液の量が、大村の邪悪な心をひどく喜ばせていたのは言うまでもなかった。
美優は、大村に悟られぬよう小さく静かに息を切らしながら、ゆっくりと眼の前のペニスに眼をやった。