第一章 卑劣な罠-17
大村は、さきほど尋常でない量の精液を口の中に吐き出した。
あれだけの量を出したのだから、もう終わりにしてくれるだろう―――そんな期待があった。
いや、少なくとも美優の常識ではそれで終わるはずだった。
たとえペニスが回復しても、しばらく身体を弄んだらそのうち解放してくれるのではないか……美優はそう考えていた。
「奥さん、シックスナインをしましょうや」
「えっ?」
「シックスナインだよ。まさか、知らないとでも言うんじゃないだろうね?」
シックスナインという体位を、もちろん知らぬわけではない。
しかし、そんなことをすればまた大村に性欲が宿ってしまう……それが怖くて、美優は言葉につまった。
「ふん、カマトトぶりなさんな。いいから尻をこちらに向け、私の上で四つん這いになりなさい。ほら、早くするんだ」
大村が、布団の上にゴロンと寝転がって手招きする。
一方的な権限の前に、美優には拒絶権がない。
ただならぬ不安を抱いたまま、仕方なく大村の身体をまたいで四つん這いの姿勢を取った。
「ほう、こうやって見ると、けっこう大きな尻じゃないか……んっ? 奥さんの厭らしい割れ目、ずいぶん湿ってるぞ。ははっ、こんな男が相手でも、身体はひどく感じていたんだな」
「う、嘘です! そんなことありません!」
美優は、血相を変えて強く否定した。
「嘘かどうか確認してやるから、もっと尻をこちらに突き出しなさい」
大村は愉快そうに笑いながら美優の腰を掴み、豊満なヒップをグイッと手前に引き寄せた。
「おお、濡れてる濡れてる! スケベ汁がたくさん溢れ出てるぞ、奥さん!」
「い、嫌ッ! 嘘です」
「うんうん、認めたくない気持ちはよく分かるよ。こんな冴えない男に弄ばれて感じちゃったなんて、あんたのプライドが許さないだろうよ。でも、これは認めざるを得ないなぁ」
ふざけた口調で言い、大村がそろりと指先で陰唇をなぞり上げる。
「うっ……」
美優は、漏れそうになった喘ぎをギリギリのところで押しとどめた。
じっくりと昂ぶらされていた肉体が、思いのほか敏感になっている。
頭の中が混乱した。
どうすれば、どうすればいいの……すでに汗みどろの肌に、さらなる汗が浮かんでいく。
「奥さんがもっと正直になれるよう、いまからココをたっぷりと弄ってやるよ」
大村の唇が、そっと淫らな肉の合わせ目に触れてきた。
「ンアッ―――」
男の軽いタッチにもかかわらず、秘唇が激しく奮え上がった。
昂ぶり出していた肉体の敏感さは、美優の予想を遥かに超えていた。