第一章 卑劣な罠-16
(嫌ッ……ダメ……が、我慢するのよ……)
美優の願いもむなしく、ネチッこく揉みあげられていた乳房がついに歓びの変化を男の前に示した。
「はっはっは、ビンビンになったぞ!」
汗びっしょりの顔で、大村が大声を上げて笑った。
丸い乳椀の先で小さく萎んでいた突起物が、男の卓越した愛撫によってムクムクと膨らみだし、いまや完全に勃起してしまったのだ。
大村は、それを不意に指先で引っ掻いた。
「あうっ!」
美優の口が、ハッキリとした声で悲鳴を上げる。
「そうかそうか、そんなに気持ちいいか。なら、まだたっぷりと愛撫をくれてやろうか」
美優の反応を伺いながら、双方の乳首をキュッと軽く摘む大村。
そのシコリを強く摘んではプニプニと優しく揉んでいく。
「やっ、ダメッ!」
背筋に駆け巡る峻烈な快美感に、美優は堪らず上体を横に向けようとしたが、馬乗りになっている大村がそれを許さない。
なおもクリクリと、摘んだ乳首を悩ましく揉みあげてくる。
ピクン、ピクン、と、美優は堪えきれずに大村の愛撫に合わせて身体を弾ませた。
「感度いいね〜、奥さん。こりゃあ、もしかして、アソコもすでにグチョグチョになってるんじゃないだろうね」
大村が、再び顔を近づけてから囁く。
「そ、そんなことはありません……」
消え入りそうな声で美優は答えた。
秘芯が疼き、アソコが恥ずかしいことになっているのは確実だった。
「何度も言うが、奥さんはどこをとっても本当に美しい……」
大村はしみじみ言ってから、ペロリと美優の唇を舐めた。
ふっくらとした薄紅の唇、その弾力がなんとも堪らない。
うっすらと開いた大村の唇が、肉厚の美唇をパクッと咥えて引っ張った。
それを離しては咥え、引っ張っては離すといったことをしばし繰り返して弄んだ。
その際も、乳房への愛撫はずっと続いている。
美優は焦った。
自身の肉体の火照りもそうだが、下腹部に圧し掛かっている大村の逸物の変化に慄きを感じていた。
(う、嘘……どうして……もう、もう大きくなっている……)
大村の回復力に、美優の胸奥では再び絶望の二文字が浮かんでいた。
これまで経験してきた男達は、みなセックスにおいて淡白だった。
夫も例外ではなかった。
それは、美優自身が淡白なだけに、男達が無理に情欲を抑え遠慮していただけかもしれない……が、とにかく、一度の行為で男が二回も射精するところなど見たことがなかった。