第一章 卑劣な罠-15
「ふふっ、とことん嫌われているようだな。まあいい」
大村が、蛭のような舌をわざと大きくニュッと突き出し、口唇をべろべろと舐めていく。
(ああ……いやぁ……気持ち悪い……)
粘っこい舌が、重ねた歯や歯茎を執拗に嬲ってきた。
可憐な唇はもとより、もう口のまわりや鼻の穴まで大村の唾液でベチャベチャになっている。
その悍ましさに、美優は堪らず声を上げた。
「やっ、止めてっ、お願い」
たまらず声を漏らした瞬間、大村の舌が機敏に動き、まんまと口腔内への侵入を果たす。
歯茎上に垂らされていた唾液も、ヌメッた舌と一緒にだらだらと流れ込んできた。
「うっ……んぐっ」
口腔内で蠢く大村の舌が、美優の舌をたやすく絡めとっていく。
大村の舌は、不快極まりないものだった。
それでも強く抵抗しないのは、事を早く済ませたかったからだ。
大村が、上からポタポタと汗を落としながら、顔を右へ左へと交互にせわしく動かしながら口腔を嬲りたてる。
女の口唇に深く喰いついているその姿は、まるで獲物を飲み込むときの蛇さながらだ。
「俺の臭い唾液と違い、奥さんの唾は何とも甘い味がするな……神様って奴は、とことん不公平だな」
大村は皮肉っぽく言い、抵抗を失くした美優の舌を丹念にしゃぶり続けた。
唇をチュパチュパ吸いながら、大村の片手がのっそりとバストの膨らみに向かっていく。
汗ばんでいる肌の上を軽快に滑り、乳椀をまるごと揉み潰しながら先端の乳首ごと揉みまわす。
そのうち大村は、美優の口唇から顔を離して馬乗りの体勢をとった。
そして、両手を双方の乳房にあてがい、本格的な揉みしだきにはいった。
「奥さんのおっぱい、ほんとに美しいなぁ……いくら揉んでも気が済まない」
大村が、執拗に形の良いバストを変形させながら弄ぶ。
「やっ……あ……ああ……」
そのうち美優の口からは、悲痛な声に混じって喘ぎとも取れるような吐息が漏れるようになっていた。
正直、弄ばれているバストからは不純な快美感が湧き立ちはじめている。
(ダ、ダメよ……こんな男相手に……感じてはいけない……)
歓びの反応を示そうとする肉体に、美優は頭の中で強く冷静を求めた。
「少しずつ乳首が起ってきたな……ふふ、身体は正直だ」
「そ、そんなこと……」
手のひらに強弱をつけながら、大村が巧みなマッサージを施してくる。
その手つきは、実に絶妙だった。
女の性感帯を熟知したバストへの愛撫。
じわじわとだが、鈍い快美感が確実に肉体の芯を脅かしている。