第一章 卑劣な罠-13
まるで蒸し風呂のような薄暗い室内で、汗にまみれた全裸のカップルは濃密な淫らさで蠢き立っていた。
「奥さん、なかなか上手いじゃないか」
「んっ……んんっ」
唇をせつなく開き、奥深くまで咥えこんだペニスに柔らかく舌を押し付けながら、静かに頭を上下運動させていく。
口腔内には、酸味の利いた青臭い異臭が嫌というほど満ち溢れている。
(口でイってくれれば、それで終わりにしてくれるかもしれない……)
美優の常識に、『男は一度の射精で性欲を満たすもの』という考えがあった。
どれだけ女を欲していても、一度出してしまえば満足してくれるだろう……そんな微かな希望を胸に、屈辱にまみれながらも必死で口唇奉仕を続けた。
唇をすぼめ、口腔を埋め尽くしている汚れ棒の表面を強く舌で擦りたてながら、うんと卑猥な動きで刺激していく。
ときおり口からペニスを吐き出し、亀頭に舌を絡めては横張りのエラの裏あたりにも優しいタッチをくれてやる。
そして再びヌヌッと根元まで咥えこみ、肉幹に強く唇を押し当てて頭を前後に振りたてた。
「おっ、おっ、いいね〜、たまらんよ。このままだと口でイッちゃいそうだ」
喜色ばんだ大村の言葉に、早く事を済ませたい美優がさらに激しく頭を振り立てる。
必死だった。
チュ、チュバ、チュボ、ジュポ―――
舌に感じる嫌な苦味を少しでも和らげようと、自身の唾液をたっぷりとまぶしながら肉幹を擦り続ける。
(お願い、早くイって……お願いだから……早く終わって……)
悲痛の思いで口唇奉仕を続ける美優。
「お、おおっ!」
大村が、一際大きな唸り声を上げた。
同時に、グッと美優の頭を両手で押さえ込んできた。
「んぐっ、んんんっ!」
ペニスの切っ先を喉元まで突っ込まれ、その苦しさから美優は思わず両手を男の太ももに押し当てた。
手に力を込め、懸命に大村を引き離そうとするがその思いは叶わない。
美優は、臭い立つ男の陰毛に鼻を埋めながら、あまりの苦しさに涙を流して嘔吐いた。
悲痛に嘔吐きながらも、乱暴な男の幹には舌を押し当て続けた。
「イ、イク! イクぞ! 口の中にたんまりと出してやるから、一滴も残さず全部飲み込むんだ! いいな!」
そう叫びながら、大村は美優の髪を掴んで激しく腰を突き入れた。
「んっ、んぐ……うえっ、んぐ」
鋭い腰の動きが徐々に大きなストロークへと変わってきたところで、不意に大村がペニスを根まで押し込みグリグリと陰毛を擦りつける。
ドビュ、ビュビュ、ビュルビュル―――
喉に向けて次々と連射されてくる濃厚な牡の精液。
その量は凄まじく、匂いもまた強烈だった。
口の中へ充満した性臭が、鼻腔を一気に駆け抜けて脳をクラクラさせていく。
美優は、乗り物酔いにも似た感覚に見舞われた。