王様じゃんけん-7
「夏樹………… 答えなんてもうとっくに出てるんだろ?」
そう呟きながら私の唇を何度も塞ぐ隆。
「ユイは姉様の愛する一番の女であれば………… それだけでこの上なく幸せです♪」
ユイもまたそう呟くや、私の身体に満遍なくキスを繰り返している。
「駄目よっ! だ、だってそんなのっ そんなのただの私のわがままじゃない…………」
私はそう言いながらも、二人の愛撫を全身で受け止めては、
感じるがままに甘い吐息と淫らな嬌声を洩らしはじめていた。
「別にわがままでもいいじゃん? 俺らはそんな夏樹もひっくるめて好きだって言ってるんだからさ」
「ホントですよ…… どうして姉様はこんなに意固地なんでしょうね?」
「そ、そんな事言われてもっ あっ…… やっ………… んんっ……」
隆の大きな手が私の乳房を揉みしだいたかと思うと、
ユイの小さな手がその先端を摘み上げる。
こんな事、許される事じゃない。
私だけがいい思いをするなんて、そんな都合のいい夢のような事などあるわけがない。
「まったく…… まだ夏樹は納得いってないみたいだな?」
「ホントに姉様ったら…… このうえ何がそんなに不満だと言うのですか?」
「ふ、不満だなんてっ そうじゃなくて…… なんだかこれじゃ私だけが特別みたいで…………」
二人の愛撫に意識が飛びそうになる。
「ホント夏樹は昔から頭が硬いからなぁ……」
「硬いと言うよりは………… 頭でばかり考えすぎです♪」
「ちょ…… あなたたち黙って聞いてれば…… あっ…… んっ もうっ…………」
私はいいように弄ばれていると感じながらも、
決して悪い気はしていない。
弄ばれている? いや、むしろもてはやされていると言うべきだろうか?
「仕方無いなぁ…… じゃぁ久しぶりに『王様じゃんけん』でもするか?」
「…………なんですかそれは?」
「ああ、『王様じゃんけん』ってのは俺と夏樹が小さい頃からやってる遊びでさ…………」
小首を傾げるユイに、隆が『王様じゃんけん』の説明をしている。
そうか、今の私の状況はまさに王様なんだ。
王様だからこそ許される待遇。
王様でなければ許される事のない処遇。
でもそれは、あくまで架空の話だからこそ成り立つもので、
現実世界の私に適用されるべきものではない。