電撃告白タイム-6
ベッドに全裸で横たわったミカの身体は、その弾けた性格からは想像できない程に白く、ふんわりとしているように見えた。ケンジはミカの身体にそっと自分の肌を重ねた。そしてまた静かにキスをした。
ミカの体温、肌の甘い香り、腕を回して抱いた感触、そのどれもが妹マユミのそれにひどく似ていた。ケンジは喉元に熱い塊が上がってくる感じがして、動きを止めた。そしてゆっくりとミカから身体を離した。
「海棠くん・・・?」
「先輩・・・・お、俺・・・・。」
ミカは身体を起こして少し寂しそうに笑った。「下着、穿きなよ。」
「え?」
「今夜は無理だね。ごめん。あたし、突っ走り過ぎた。」ミカは脱いだショーツを手に取り、身に着けた。ブラもバストにあてて再びベッドに横になった。「話そうよ、海棠くん。」
「そ、そうですね。」ケンジも下着を身に着けて、ミカの横に仰向けになった。ミカはケンジの胸にそっと手を乗せた。
「マユミさんのことを思い出したんでしょ?」
「・・・・はい。すみません。」
「無理もないよ。」
少しの沈黙があった。
ケンジが天井のシャンデリアを見つめながら口を開いた。「俺、ミカ先輩が好きです。だからさっき告白された時、とっても嬉しかったし、舞い上がるような気分でした。」
「そう言ってくれると、救われるよ。」
「マユと別れた後、先輩のお陰で俺、沈んでた気持ちを浮上させることができました。感謝してます。」
「そうなの?」
「はい。先輩が親身になって俺のこと心配してくれたり、慰めてくれたりしたことで、俺も救われたんです。」
「今思えば、下心ありありだったのかもね。」
「そんなことないです。」ケンジは顔を横に向けてミカの目を見つめた。「先輩は、純粋に俺のこと心配してくれてました。それは間違いないことですよ。」
ミカは微笑みながらケンジの目を見つめ返した。「ありがとう。海棠くん。」
「お付き合いするからには、俺も真剣にいきます。」
「そんなに力まなくても・・・。」
「一年前は、本当に申し訳ありませんでした。ごめんなさい。」ケンジは本当に申し訳なさそうな目をしてミカを見つめた。「あんなひどいことしちゃって・・・・。」
「全ー然平気。あたし逆に嬉しかったもん。あなたに抱かれて天国にいるような気分だった。」
「だ、抱かれて、って・・・。あれ、ほとんどレイプじゃないですか・・・。」
「大好きな人になら、何されても嬉しいもんだよ。それにあの時、あたし、思いっきり感じてたしね。」
「だ、大好き、って・・・そんなに、俺のこと・・・・」
「うん。あなたが大学に入ってきてから、水泳サークルで見た瞬間に墜ちた。」ミカは笑った。「でも、あなたにはマユミさんがいた。だからずっと我慢してた。」
「我慢・・・・ですか・・・・。」
「マユミさんからはあなたを奪えない。そう思ったんだよ。」
「自分勝手なこと言うようですけど、俺、今はミカ先輩が一番好きです。付き合いたい女性ナンバーワンです。でも、マユとの恋愛期間が長かったから、先輩を抱くのには、ちょっと勇気が必要です。」
「わかるよ。でもさ、海棠くん、好きな女性にナンバーワンなんて順位をつける必要ないんじゃないの?」
「え?」
「あなたの妹さんを想う気持ちも一番、あたしを想ってくれる気持ちも一番。それじゃだめ?」
「え?それって二股がけじゃないですか。」
「そうかな。マユミさんへの想いとあたしへの想いって、単純に比較できる?どっちか選べ、って同列に扱えるの?」
「そ、それは・・・・。」
「あたし、いいよ、それで。無理にマユミさんを忘れてしまえなんてあなたに要求しない。マユミさんの存在は、もうあなたの人格の一部になってる。双子でもあるしね。あたしそういう海棠くんを好きになったわけだし。」
「それで、いいんですか?ミカ先輩は。」
「いいよ。全然構わない。」
ケンジは安心したようにため息をついた。「すみません。気を遣ってもらっちゃって。」
「そんな難しいこと論ずる以前に、あたしあなたがすっごく好き。純粋に。それで良くない?」
「そうですね。俺もとっても好きです。ミカ先輩が。」ケンジはにっこりと笑った。