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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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臆病風に吹かれて-1

「あー、マジでムカつく!!」


あたしは、コンビニで買ってきたコーラをグイッと飲み込んだ。


きつい炭酸が喉をピリッと痛めつけ、思わず涙目になる。


そんなあたしを優しい笑顔で見つめながら、優真先輩は自分の分のジャスミンティーをゆっくり口に含んだ。


「恵、落ち着いて」


「だって、ムカついて仕方ないんですよ! あー、こんなことなら出席票出さなければよかった!」


あたしの怒りの原因は、もちろんあのスケコマシ野郎のことである。


先日の、“学食で平手打ち事件”を起こして以来、臼井陽介は構内であたしと顔を合わせるたびに、あたしに突っかかってくるようになったのだ。


奴はあたしの顔を見ればとりあえず、


「よう、クモの巣女」


と、声をかけてくる所から始まり、


「早くヤんねえとクモだけじゃなくウジわくぞ」


とか、


「無駄におっぱいばかり大きくて脳ミソに栄養いってないんじゃね?」


とか、とにかくもう腸煮えかえるようなことばかりを言ってあたしを怒らせてくるのだ。


今日だって、


「彼氏がいるなんて狂言だろ? お前みたいな性悪女に男なんてできっこねえよ」


なんてカチンとくる一言を言ってきたので、パンプスで思いっきり足を踏んづけてやった所だ。


それでも怒りが治まるはずもなく、アイツに会ってしまった日は、たとえこうして優真先輩と会っていても、イライラが止まらない。


せっかく優真先輩の部屋でこうして甘い一時を過ごしているっていうのに、さっきから浮かぶのはアイツの憎たらしく笑う顔ばかり。


次第にあたしは、優真先輩に臼井陽介の悪口ばかりを言うことが日課になってしまった。


「……でもさ」


今日も臼井陽介に言われたことを優真先輩にひとしきりぶちまけてやった後で、彼はおもむろに口を開いた。


「なんか妬けちゃうな」


「え!? な、なんでですか!?」


びっくりして優真先輩に目をやると、彼は寂しそうに笑っていた。








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