#04 研修旅行――三日目-10
「女の友情もいいものよ」
「響きが少女マンガチックでドロドロしてんだよなあ、女の友情」
「誤解です!そ、それより、せっかくですしどこか寄っていきますか?」
「あ?……んまあ、小腹も減ってるし、構わねえけど……スタバでもいくか、駅前だし?」
「ス、スタバッ?……って、スターバックスですよね?そんな、学生が、そんなそんな……」
「あん?」
「尊?……なにを言っているの?」
「だってっ、そういうとこって、なんか、こう……佐倉さんみたいな方々が一杯いるじゃないですかっ!」
「なんだよ、私みたいっていうのは……」
「……不良?」
「柚子!そこまでは私も言って――」
「いや、まあ、いいんだけどよ。否定はしねえし……。それで、こいつはなにを言っているんだ?」
「え……?それは、どういう……」
「尊、もしかして行ったことがない?」
「あ、あたりまえじゃないですかっ!」
「「あぁ……」」
「な、なんです?その、ぬ、温い視線は……?」
「ぃや、温いっつーか……小痛い?」
「小痛っ……?」
「ごめん、フォローできない」
「ゆ、柚子までっ!そんな非常識なことを言いました、私っ?」
「ああ、その通りだ」
「うん、言った」
「ぅ、うううぅ……」
「んじゃ、行き先は決まったな?」
「うん。尊の矯正」
「矯正って、柚子っ?さっきから台詞の端々が胸に突き刺さるんだけれど……」
目の下を力ませ、俯き加減になった林田を両脇から窺っていた私と相原は、そして顔を見合わせると同時に噴きだした。
すると、まあ、予想通りに頬を膨らませる相原。
けれど、すぐにそのイインチョウサマの面にも笑顔が浮かんだ。
昼間の陽光熱を延々と放散し続けるアスファルトを、私はふたりの、その、いわゆる『友人』と並んで歩くのだった。
…………んま、つまんなくはねえよ?
――つまんなくは、な。けっ!
つづくっ!