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The end of the DragonRaja,
【二次創作 その他小説】

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The end of the DragonRaja, Chapter 2[The start in new life]-17

 アランと床の間にできた隙間へマルトースが長机を入れた。
 
「あ、マルトースさん、アランの剣と盾、それから兜を持ってってくれないか?
 こいつの大事なもんなんだ。」

「わかった、では急ぐぞ。」

 マルトースに続いてレクサスとヴァルキリーは長机を持ち上げて屋外へと移動する。

 そして安全な場所まで運ぶと、マルトースは再び呪文詠唱を始めた。
 それを心配そうにレクサスが見つめる。
 そんな彼に気がついたマルトースは笑顔で諭す。

「大丈夫だ、アランの強さはお前が理解しておろう。
 心配するな、私に任せろ。」

 黙ってレクサスは頷いた。
 そしてレクサスとヴァルキリーの元へシュリが駆けつけてきた。
 先程アランを救助した民家は炎に包まれ屋根が崩れ始める。

「シュリさん、ここにいるウィザードの手当てをしてやってくれ。
 何人か骨が折れて」

「待て、あいつらが先だ。」

 ヴァルキリーの視線の先を理解した2人は、瀕死者を馬に乗せて運んでくるハーム達の元へ走り出す。

 

 長い一日が終わろうとしている。
 生き残った者は早朝からの戦と狂人のシーフとの戦いで疲弊しきっていた。
 レクトは住民に事の仔細を説明してから、任意で城外へ出る事を許可した。
 そして彼自身も住民と共に復興支援や死体の弔いなどを手伝っていた。
 一方であのシーフの再来を警戒したマルトースは、王国騎士団と自身で外部の封鎖に就いている。
 そこへ使者としてイルスへ派遣したルアーノが戻って来た。
 彼はマルトースが封鎖の任に就いていることに大層驚く。

「ご苦労であった、ルアーノ。
 ただ、再びイルスへ行ってもらう。」

 何かあったのだろうと予感した彼は、マルトースの次の言葉を黙って待った。
 そんな彼の意図を酌みマルトースは続ける。

「国家戦で虐殺を行ったシーフが昼間我が国を襲った。
 多くの市民と兵が殺され、レナス市中は戦闘の傷跡を残している。
 我等は兵力を補うため、彼のシーフの再来に備えここに配備しておる。
 即刻イルスへ再び赴き、状況説明し安全を確保するよう伝えてくれ。
 また、……できることなら3国で解決策を講じたい旨も。」

「わかった。」

「お前も疲れてはいるとは思うが」

 ルアーノはマルトースの言葉を微笑みで遮った。

「大丈夫さ、他の奴等に比べたら。
 マルトースさんがここにいるってことは、それほどの被害ってことだろ。」

「…済まない、頼りにしてる。」

「あぁ、任せな。」

 目線で会釈をするマルトースにそう言い、
 ルアーノは再びイルスへと向かうために大草原の闇へと消えていった。





「目が覚めた?」

「…ここは?」

「城内の大広間。
 重傷者は皆ここへ運ばれたの。
 床の上だけど我慢してね。」

 高い無機質な天井をぼんやり見上げていると、アランは昼間の戦闘を思い出した。
 範囲魔法を命令した時に縦状のアイスブラストを食らい、自分が吹き飛ばされた事を。

 それ以降の事は思い出せない。
 その途端に激痛が彼の体を襲った。
 苦痛で顔を歪める。

「安静にしなさい、重傷者って言ったでしょ。
 あなた左肩の骨が折れてて、全身を強打してる。」

 アランの左側で付き添っているシュリはそう告げる。
 ただアランは自分が意識を失った後の事が気になっていた。

「あのシーフは?」 

「レクサス達が追っ払ったわ。
 代わりに広場周辺はぼろぼろになっちゃったけどね。」

「倒せなかったのか…。」

「そうみたい。わたしも後から聞いた話だから、レクサスに聞いてみるといいわ。
 けど、多くの人が亡くなった。
 そして再来を危惧して、重傷者や一部の市民は城内で夜を明かす事になってる。」

 それに関してはもう何も言えなかった。
 戦線を離脱してしまった自身には、結果に関して口を出す権利はない。
 寧ろ国家戦での敵の力量を鑑みれば、退却させただけでも十分な戦果と言えた。
 そしてあの殺傷能力を思い出すと、仲間やネリア、そしてリーフのことが気になった。

 ふと右横を見ると見慣れた緑色の長い髪がある。

「リーフっ!? くぁっ」

 思わず心配になり起き上がろうとするが、体の痛みに遮られた。
 シュリはそっと彼の体を支えながらゆっくりと寝かせる。
 そして彼女はつい笑みがこぼれてしまった。

「大丈夫。
 今は疲れて眠ってるだけだから。」

 しかしシュリからはすぐに笑みは消えた。

「いい? 落ち着いて聞きなさいね。」

 彼女の表情と言葉でアランは胸騒ぎがした。
 ―――まさか?

「あなたのお姉さんが」

「姉さんの身に何かあったのか!?」

 シュリはごめんごめんと言うように再び笑顔になった。
 そしてまた無理を押して起き上がろうとしているアランをゆっくりと寝かせる。


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