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The end of the DragonRaja,
【二次創作 その他小説】

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The end of the DragonRaja, Chapter 2[The start in new life]-16

「呼吸が少しだけ安定してきたわね。」

「はい、でもまだ安心できません。
 この人はアランのお姉さんなんです…。
 この人だけは絶対に救います。」
 
「わかったわ、リーフ。
 ならあなたは絶対にこの人を助けなさい、命令よ。
 私は他の負傷者の救助に向かうわ。」

「了解しました。」

 シュリは先程爆発のあった広場へと向かっていった。
 リーフは肩で息をしながら懸命に治癒魔法を唱え続ける。
 彼女が泣いている時、困っている時、必ず救いの手を出してくれたネリア。
 そして優しく微笑んでくれたネリア。
いつもリーフを見守ってくれていた。
 けれども、リーフを最期に守ったアイサは死んだ。
 リーフは泣く事しか出来なかった。
 アルフォンスが死んだ時も、泣いてばかりだった。

 戦場でプリーストの役割を考慮すれば戦闘には不向きなことは瞭然たることだ。
 戦いで人を守ることができないから、だからこそ、人の命は護らなければならない。

 それなのに、それができなかった。
 命の灯火が潰えた時、悲しくて泣いていた。
 けれども、もし今涙を流すのであれば、きっと悔しくて、後悔する涙が流れるのだろう。
 何もできないことが悔しい。
 人には守ってもらってばかりなのに、リーフ自身が、何もできないことが。

 ただしネリアを治癒するリーフの瞳には涙はない。
 絶対に助けるという確固たる意思が漲っていた。

 もう 誰も 死なせない 絶対に

 彼女の意思に呼応し、心は神聖で優美な輝きをあたりに迸らせようとする。
 森羅万象を網羅し彼女をぼんやりと纏う光は、やがて収縮されていく。
 小さいけれど、とても慈愛に満ちたあたたかな1つの光が、
 リーフの手からそっとネリアに届けられた。



「報告致します。敵の脅威は今し方去ったとのことです。」

 若い王国騎士団の兵がレクトとマルトースに伝える。
 するとレクトは玉座から立ち上がり、マルトースは部屋を出る。

「わかった、お前達も来い。」

「はっ。…どちらへ向かわれるのです?」

 この若い兵はレクトやマルトースの人格まではまだわかっていないようだ。

「決まっている、救助だ。」

「はっ。畏まりましたっ。」

「広場から火の手が上がっている、お前達は消火活動へ当たれ。
 市民をまだ城外へは出すな。
 下手に混乱を与えると、活動の障害となり得る。」

「はっ。仰せのままに。」

 この実直すぎる若い兵にいささか呆れたレクトは、彼の返答を待たずして部屋から出て行った。


「動ける者は消火活動にあたれ。
 それから負傷者の安全確保と応急処置をしろ、プリーストが足りない。
 重傷者を優先してプリーストは治癒しろ。」

「重傷者はどこだ? 連れて行け。」

 マルトースが命令していたヴァルキリーに声を掛けた。
 ヴァルキリーは一瞬驚いたが、彼の人格を理解している。
 このような事態には率先して動く人だと。

「こちらです、ご案内します。」

 ヴァルキリーはアランのいる民家へとマルトースを連れて行く。
 ただ、この民家にも火が移り始めている。
 そう悠長にしている時間はなかった。
 レクサスはアランの外傷を調べ終わると、彼の剣と盾を運び剣で長机の脚を切っていた。
 そこへヴァルキリーとマルトースがやってくる。

「どんな具合だ?」

「外傷はたいしたもんじゃないと思うけど、まだ意識が戻ってない。」

「わかった。」

 マルトースは治癒呪文を唱え始める。
 ヴァルキリーは長机の脚を切るのに苦戦しているレクサスの下へ寄る。
 その間にも辺りに火の手が見え始めた。
 迫る火の手にレクサスの焦りは増す。
 その気持ちが不慣れな剣使いをより狂わせ、長机の脚は強敵となる。

「代われ、俺がやる。」

「わるい、頼む。」

 ヴァルキリーによって綺麗に根元から切断された脚が次々に床に転がっていく。
 その光景に感心することなく、レクサスは盾を拾い上げていた。
 そしてヴァルキリーからアランの剣を預かり、共に長机をアランの下へ運ぶ。

「マルトースさん、一旦これでアランを乗せて、外へ出よう。
 ここも直に火の手に包まれる。」

 マルトースが頷き脚を失った長机を手に取る。
 そしてレクサスがアランの両脇に手を回し、ヴァルキリーが彼の両足を持ち上げる。


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