The end of the DragonRaja, Chapter 1[Life and death]-39
No.11 「forthelovedperson」
リーフは意を決して、アランの家へ押し掛けた。
今の彼女では彼の心を癒すことはできないと頭では理解しつつも、足は彼の家へと向かっていた。
ドアを開けるとネリアが出てくる。
「あら、リーフ。」
「あ、ネリアさんこんばんは。あの…、アラン、いますか?」
「ごめんね、せっかくきてくれたのに。今あいついないの。」
「そう…、ですか。」
どこか安堵してしまう一方で、リーフは落胆する。
「まぁ、でもあいつのことだから、こんな時だからこそレナス外部にいってるかもしれない。」
「わかりました、行ってみます。」
ぺこっとネリアに対し腰を曲げ、駆け出そうとする彼女をネリアは呼び止めた。
「リーフ、ありがとね。」
ネリアの微笑みを見て、少し照れた彼女は再びネリアに一礼し、慌てて駆け出した。
その姿を見守るネリアは、腕組みをしつつ、ドアの背にもたれながらぼやいた。
「まったく、あのバカは……。」
アランはレナス外部へと通じる橋の上にいた。
川の流れをただじっと見つめている。
川の水面は、流れが生じている部分が月の光を反射させ煌いている。
そして静かなせせらぎだけが、彼の耳に響いている。
何をするわけでもなく、ただそうすることで気分を落ち着かせようとしている。
今のアランには多くの事が起こりすぎて、ひどく疲れていた。
ピノとアルフォンスの死、涙に打ち拉がれているアリサ、
そしてリザルトを倒すことができなかった自分。
『あの時』確かにもう仲間を傷つけさせないと誓ったのに。
アランがあの場で最後までリザルトと戦ったことで、二次的被害を抑えることができた。
結果としてはそうだった。
ただし、ピノやアルフォンスはリザルトに殺された。
ピノが殺された時、アランは別の敵と戦っていた。
アルフォンスが殺された時、アランはピノの最期を看取った後だった。
アランに非はないかもしれない。
どうしようもなかったのかもしれない。
あの場では、彼らの死はできない事、どうしようもなかった事の範疇ではある。
またリザルトを倒すという事も、どうしようもなかった事の範疇に入る。
弱者が強者を倒す事はできない。
それだけの事である。
しかしアランはストリームブリンガーを率い、戦っていた。
少なからず雪原での彼の隊の責任者はアランだった。
自然の摂理を前にして彼は責任感に苦しめられている。
アランは自分自身を許せないでいた。
全てにおいて、自分が悪いのだと思ってしまっていた。
そして仲間の敵を討つ事ができなかった事実が彼に付き纏う。
(奴さえいなければ……。)
その苦しみはいつしかリザルトへの懲悪観念へと方向性を変え始める。
怒りがアランを蝕んでいった。