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The end of the DragonRaja,
【二次創作 その他小説】

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The end of the DragonRaja, Chapter 1[Life and death]-3

No.2[divergenceofsituationofawar]

 家を飛び出したアランは、一目散に城へと向かっている。
 ここジャイファン国は海と砂漠に囲まれた国家である。
そして長きに渡って、バイサス国、イルス国と抗争を続けている。
 ジャイファン国はレナスをはじめとする3都市を有し、カライルという村を有しているが、
 村は昔モンスターに襲われ、今では名ばかりの村となっている。
 この村は元々レナス市に隣接していたため、村の住人はレナス市に居住を移し、
 村は復興することなく廃村となった。
 カライル村が襲撃された当時のこの世界には、邪悪なモンスターが数多く生息していたが、
 今ではモンスターは力が衰えたかのように、ただひっそりと生息している。
 もちろん獲物が現れれば狙ってくるが、生息地域が限定されており、近づかない限り安全である。
 それゆえ、ギルドに所属している者は狩りと称し、モンスターを倒す事で己を鍛錬している。
 アラン自身もストリームブリンガーに配属される以前は、そのような一般的なギルドに所属し、
 修練の日々を重ねていた。
 ただ今の彼はストリームブリンガーとして、狩りに行くことはほぼなくなった。
 モンスターを倒すことよりも他国の兵を倒すという、より重要な任務を抱えている。

 レナス市の東西南北4つの主要道路の入り口左右には、ジャイファンを象徴する蠍のオブジェがある。
 レナス市は昔軍事都市として築かれたため、その蠍は敵の侵入を防ぐために、
 両のはさみには連弩が仕込まれている。
 それらは現在では実用不可であるが、軍事都市の名残を静かに残している。
 そして4つの主要道路の始まりにあたるレナス市の中央には、噴水を有する広場があり、
 その広場の北に通ずる道を直進すると、この国を統べる城が雄大に聳え立っている。
 循環方式の噴水から奏でられる優雅な水の音色に耳を傾ける余裕もなく、
 全力で駆けているアラン。
 そしてその城への道に差し掛かった時、城から来る男に話しかけられた。

「お、アラン、随分慌ててどうした?」

 アランがストリームブリンガーに配属される前に所属していたギルドの男が、彼を呼び止める。

「悪いっ、今急いでるんだっ。」

 しかしアランはすれ違い様に男を一目だけ見遣り、駆ける足を緩めることなく城へと向かっていった。

「…ストリームブリンガーの副団長ともなると、忙しいこったな。」

 彼の走り去る姿を見つめながら、男は呟いた。
 

 ストリームブリンガーは、はるか昔、どの国にも属さぬ最強の海上傭兵ギルドだった。
 当時の世界を支配していたバイサス帝国はこのギルドを正式に編入させようとしたが、
 このギルドは編入を断り、それに憤慨したバイサス帝国軍を敵に回すことになってしまう。
 そしてストリームブリンガーの筆頭ともいえるフィレスが対バイサス帝国軍の軍事基地として
 現在のジャイファン帝国をここレナスに築いた。
 現ジャイファン国王レクトは、この歴史から、
 現代における屈強なギルドを再び結成させんという希望により、
 国王直属ギルドとして、新たなストリームブリンガーが結成された。
 アランはジャイファン屈指の剣士としての腕を見込まれ、副団長に任ぜられることとなったのだが。
 

「遅いっ!いつまで待たせるつもりだ。既にマルトース卿がお見えになっておられるのだぞ。
 ストリームブリンガーの名折れか、貴様はっ!」

 会議室のドア前でアランに仁王立ちで怒鳴りちらす男、ヴァルキリーは、レクト王の王子であり、
 21歳という若さではあるが、ストリームブリンガーの団長である。
 厳格で秩序高く、自分の信念を曲げない人だ。
 アラン自身は決断力に乏しく、温厚な性格なため、彼は頼りになる。
 だが、もちろん常に刺々しい相手と友人になれるという器量をアランは持ち合わせていないが。

「申し訳御座いません、少々報告書に時を費やしてしまいましたので。」

 会議室のドアを開けるやいなや、真っ先に出た言葉が言い訳とは、
 アランは自分でも情けなく思った。
 しかも、列席している参加者の視線を集めることとなり、駆けてきたことによる汗とは別に、
 腰から前に折り曲げた背中には冷や汗が流れるのを、赤らめた顔には脂汗が滲むのを感じた。
 
「構わん、皆の集合より僅かながら遅れただけだ。それよりも早く仔細を聞きたいのだが?」

 アランの表情を見て、どこかからかっているような声を掛けてきた人物は、
 レクト国王側近でありジャイファン軍参謀をも務めるマルトースだ。
 この人物のプリースト魔法の右に出る者はジャイファン中探しても見つからない。
 しかし、それでいてプリーストとしての性質であるからだろうか、
 マルトースの声にはどこか人を落ち着かせる安らぎがある。
 アランが幾ばくか冷静になったところへ、
 後ろから会議室に入ってきたヴァルキリーの小さい文句が聞こえてくる。
 それを最後まで聞くまいと、アランは足早に自分の席へと歩を進めることにした。


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