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白面の鬼
【ホラー その他小説】

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白面の鬼-9

 さて、その後、マグナスは何時しか私の前から姿を消し、私もフランスを離れて色々な国を放浪した。そして、独りで何百年も過ごすうちに何故マグナスが私を友とし、仲間にしたのか、その訳が分かるような気がしてきた。その時、私にはその時代のフランスが存在していて、マグナスはそれに触れようとしたのだろう。とは言え、今となってはその真偽を確かめる術はない。私もまたあの時のマグナスのように、時代と触れ合わなければ自分を保てなくなっており、もはや私はマグナスにとって意味のない存在なのだから。

 今、私は行き先の分からない船に乗って旅をしている。最期に辿り着いた土地で私は永劫の眠りにつこうと考えているからだ。一度は祖国へとも思ったが、汚れた身で祖国へ戻り、騎士団の仲間達と共に眠ることは出来ない。ならいっそのこと、誰も知らぬ最果ての地で久遠の時を刻む事こそ望ましい。…いつしか、全てが光となるその日まで。

終わり。


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