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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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女ったらしとクモの巣女-4

へへ、ざまあみろ。


失望している臼井陽介の様子を見ていると、ニヤニヤ笑いがこみあげてくる。


融通きかないとか言われても、コイツの悔しがる顔を見てると痛くも痒くもない。


「だって、講義さぼって女に会いに行くようなだらしない奴に協力する筋なんてないし」


へへーんと奴に向かって舌を出してやると、奴はあろうことかあたしに向かって煙草の煙を思いっきり吹き掛けてきた。


白い煙が、あたしの目に染みてジワッと涙が滲む。


「ちょっと、何すんの!?」


「おめえ、マジムカつくわ」


「何よ、真面目に講義出ない方が悪いんでしょ」


「うっせえな、クソつまんねえ講義より女と会ってる方が楽しいだろうが」


開き直る臼井陽介にカチンとくる。


「大体アンタみたいな女ったらしに協力なんてハナっからしたくなかったのよ、お母さんが救急車に運ばれたなんて嘘まで吐いて……」


「あーあー、クソ真面目女には男の生理事情なんてわかんねえだろうな。あ、そういやあんた処女だったんだもんな。

しかし、その年まで処女なんて、アソコにクモの巣張ってんじゃね?」


下品にゲラゲラ笑う奴にプチンと堪忍袋の緒が切れた。


コイツ、最っ低……!


気付いたら、あたしは奴の頬を思いっきり平手打ちしていた。


ざわついた学食に響く、乾いた音。


一瞬で静まる学食内。


あたしが平手打ちした勢いで、臼井陽介の口から煙草がポロリと落ちる。


すると、テーブルの上に落ちた煙草を、輝美が慌てて拾って灰皿の上に乗せていた。


「ってえ……、何すんだよ」


臼井陽介が鋭い視線でこちらを睨む。


二人の間にバチバチと飛び散る火花。


「何よ、経験あるのがそんなに偉いっての!? あたしはあんたみたいにいろんな人ととっかえひっかえエッチしようなんて思わない! 

あたしは、本当に好きになった人だけにバージン捧げるつもりなんだから、クモの巣張ってようがあんたに関係ない!!」


あたしは周りが見えないほど熱くなって、臼井陽介に向かってそう、声高に叫んだ。


「め、恵……」


顔を赤くした輝美が、恐る恐るあたしに話しかける。


あたしは鼻息を荒くしたままゆっくり輝美を見ると、彼女は小さな声で


「声……、大きいよ……」


とヒソヒソ話をするように左手を口の横に立ててそう言った。


言われて初めて気付く、周りの視線。


気付けばあたしの後ろのテーブルの男子学生の輪が、パチ…パチ…とまばらな拍手をあたしに送ってくれた。






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